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2017.09.22

10月のブックカフェ

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9月ブックカフェの報告

10月のブックカフェ

2017年9月26日(火)衣笠ブックカフェレポート

参加者は文学部、文大学院、産社、法学部の方9名の参加がありました。

衣笠ブックカフェレポート

こんな本が話題になりました

●寺山修司を読んでいます。『ああ荒野』がお薦めです。戦後の若者たちのエネルギーたぎる長編小説です。

●立命館の知り合いが書いた小説なのですが、『パンツあたためますか』という変わったタイトルです。はじめ作者は「マイナスイオンオレンジ」というタイトルをつけていたのに出版社の人と話し合っているうちになぜかこのタイトルに変わってしまったという...。
その顛末も書かれています。

●「横浜駅SF」の続編『横浜駅SF全国版』を読みました。これは全国に増殖続ける横浜駅の様子を全国各地の視点から描いたものですが、京都など全国の話題が満載です。
もともと「カクヨミ」というKADOKAWAの投稿サイトからでた本です。
他にも異世界にいったけれど日本語が通じなかったという小説が話題になったりしています。

●重松清さんは心に残る作家です。もともと教科書で「カレーライス」という本を読んだのが始まりで。『きよしこ』が『きみの友だち』などが大好きです。「心をささえてくれる」というか、「わかるよな」という共感と「せつなさ」が心に沁みます。

●私は『ビタミンF』から読み始めて、『流星ワゴン』で泣いて...。という感じです。

●実写化もされるし、今読み時かなと思って米澤穂信の『氷菓』を読みました。文体が独特かなと思いました。ミステリーと日常の描写の中に雑学が混じりこんでいる感じです。

●僕は『満願』を読みました。怖くて、ホラーなので当たり前ですが、仕掛けと、どんでん返しの名作だと思いました。

●堀達雄の『美しい村』が好きです。軽井沢の自然がそこにあるように書かれていて、短編映画を見るような情緒があって、まるで絵画のような作品です。
堀達雄は結核でサナトリウムも体験しているので、その辺の描写がリアルです。詩人リルケの研究もしていて、詩情豊かなところはその影響かもしれません。

●ペンクラブの企画で川村元気さんを呼ぶので、彼の著書の『世界から猫が消えたなら』を読みました。世界から一つ何かを消すと寿命が1日伸びるというお話です。

●消えると言えば、筒井康隆や小松左京の作品で紙が出てくるお話なのですが、どんどん世の中から紙がなくなっていって、お金でも紙幣がなくなって硬貨しか残らないなどシュールなSFでした。

●話題と言う江売れているので、『きみの膵臓を食べたい』を読みました。純な恋愛小説でした。

●恋愛と言えば10年位まえにブームになったことありますよね。『世界の中心で愛を叫ぶ』や『いま、会いに行きます』とか『電車男』とか。また今周期なのでしょうか。

●これも今更なんですが、森見さんの『夜は短し歩けよ乙女』を読みました。「ニセ電気ブラン」も飲みに行きました。ブランデーベースらしいのですが、甘くておいしかったです。
この本はマジックリアリズムと言うか、現実から始まっているのに書かれているのはファンタジーというような小説です。

●『灼眼のシャナ』は最初、巻き込まれてしまう設定なのにそのうちに本人だけがすべてを知っている神の目をもった存在として登場します。どうかなって思います。

●夢枕獏の『上弦の月を食べる獅子』は主人公と若き日の宮沢賢治が出会って異世界に来てしまうという物語で、教思想とヒンズゥ教的宇宙観を描いたスケールの大きい作品です。

●『青の数学』は、数学オリンピックの常連たちが集まるサイトが舞台の小説で、数学の意味を問う中で生きる意味も問うていきます。ちょっと特殊な世界を書いています。

●星新一のショートショートはみなさんの中でも定番だと思いますが、記憶にあるのがある水のない星に送られる囚人たちの話です。囚人たちは一つの球を持たされます。そこからは水が出てきます。でもその球は水を出しているうちにいつか爆発をします。その時期を誰も知ることはできせん。囚人たちは、飲みたいという欲望と死にたくないという欲がまって、いづれ発狂していくという。もちろん落ちも効いていて考えさせられます。

●星新一はみんなのバイブルですよね。

●今まで親しんでいなかったSFに親しもうと思って、いろいろ積読にチャレンジしています。ギブソンの『ニューロマンサー』超巨大電脳ネットワークが背愛を覆い尽くして、という長編SFなのですが、読み応えがありすぎて僕には歯がたちませんでした。

●裏世界ピクニックは、女子二人が出てくる異世界サバイバルものですが、ラノベの底力を感じます。これは読みやすいですよ。

●ファンタジー作品には2つの種類があると思います。一つは「ハイ・ファンタジー」と言われるもの。どっぷりとファンタジーの世界に浸かっているものです。例えば『指輪物語』とか。もう一つは、「エブリディマジック」と言われるもので、現実と異世界を行き来するなどまざりこんだもの。「ドラえもん」もそうだし、『ナルニア国』などもそうです。

●村上春樹なのですが、『ノルウェイの森』を読んで100%はまりました。閉じた世界の中で語られるリアリズム小説です。主人王が二人の恩の子に愛されます。何もしなくても追いかけられます。

●その大学生は、たれでどうしようもないのにモテます。やるせないです。

●春樹の一番の名作は、『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』じゃないかな。
ここ2つの世界が書かれていいますが、現実世界と世界が終わるという非現実な世界。これが自分の頭のなかの出来事という驚きですよね。

●たしかに1984年当時、この本を箱入りのまま持って歩くことが大学生のトレンドでした。新しくて、しかもスタイリッシュでおしゃれな存在だったんですよね。

●『1Q84』は、ジョージ・オーウェルをもじったのでしょうか。

●『1984』と関連付けてもらえたら話題性が高いぐらいのものじゃないでしょうか。
確かにこの2つの世界が、2つの月を象徴として描かれています。

●でもなぜああいう終わり方にしたのでしょう。あの二人が現実で結ばれるのは、ほんとうにハッピーエンドなのか...考えてしまいます。

●村上春樹の本領は訳本にあると思いませんか。フツゼラルドやチャンドラーなどいろいろ出しています。

●春樹訳より旧訳の方が好きな作品も多いです。『ライ麦畑でつかまえて』や大きな木』とか。白水社は旧約と新訳を一緒に出しているところがすごいです。

次回は10月24日(火)です。誰でも参加できます。本好きの方はどなたでも大歓迎です。

2017年9月28日(木)BKCブックカフェレポート

今回のブックカフェには理工学部、生命科学部、薬学部の学部生と大学院生5名の参加がありました。

BKCブックカフェレポート

こんな本が話題になりました

●フェリエの図書館でいい本見つけました。『100の思考実験』です。
例えば中国語の部屋というのがあって、部屋の中にはイギリス人が入れられていて部屋の外には中国人がいて、中国語で指令を出します。中にいるのは中国人と思いこんでいるので、もちろん伝わるものと思っているのですが、そうではない。これは、AIのたとえで、AIがいろいろ答えることができても実は膨大なインプットを検索しているだけなのかもしれない。ほんとうにロボットは思考力を持って、心さえ持てるのかという命題が語られています。いろいろな実験があって考えさせられます。

●ゲームのノベライズをよく読みます。『バトルガールハイスクール』はプレイヤーが女子高の新人教師となって、女子高生たちとバトルを繰り広げる学園アクションものです。
いろいろな方法で親密度を上げて女子を育成していくのです。ゲームと同じように表紙の女の子たちがかわいいです。

●遠藤周作を読みました。『沈黙』です。キリシタンが迫害されるお話ですが、本を読んでいると「アナズリ」とか拷問があまり想像できなかったのですが、映画で見るとリアルでとても怖かったです。最後に宣教師が亡くなったとき、こっそり十字架を握らせてもらって焼かれるのが、救いがあるなと思いました。

●司馬遼太郎が好きで、『関ヶ原』も読んでいてこのたび映画も見ました。

オリジナルキャラクラーの登場で、これはあかん!と思ったのですが、有村架純が忍び役で出ていてこれはこけるわ~と思っていたら、いい具合に途中でいなくなって、監督の名采配と思いました。

●ゲーム原作のアニメがこのところ多いですが、30時間もかかって行うゲームなのに、短い時間でのアニメでは語りきれません。どこにメインを置くのか。どこを削るのかが難しいと思います。それで『シュタインズゲート』ですが、これは、過去にメールを送る能力を持った男が、未来が分かるため、隠れて出て来なくなるとか、ギャル系の女の子を攻略するとか、取捨選択しながら監督する能力を高めていくのです。わくわくします。

●漫画の『トリコ』は異世界のグルメものですが、アニメにできないような描写が多くて、アニメは独自の道を行っています。

●『ジョジョの奇妙な冒険』は、確かに特殊な世界観ですが、作者が事件としてチャレンジしている様子がありで、絵柄を変えてみるとかやっています。

●理系の大学生にぜひ読んでほしのが有川浩の『キケン』です。はじける破天荒な青春と最後の泣かせどころがぐっときます。こんな学生時代送りたかったなぁ。

●最近はやりの純愛もの『きみの膵臓を食べたい』を読みました。純な青春にむかつく自分がいます。

●『僕は明日、昨日のきみとデートする』はひとめぼれで恋が始まって、二人は付き合うのですが、彼女から衝撃の告白があります。彼女は別世界から来ていて、そこの人間は年よりから人生が始まって、だんだん若くなっていきます。二人は5年毎に出会うのですが、年上の彼女と若い自分から始まって、ある時お互い二十歳の時に出会います。それ以降は自分が年を取っていき、彼女は若くなる一方です。すれ違う時間があることにせつなさを感じます。

●そういえば『君の名は。』も同じ感じですよね。いざというときに君はいない、時間の差のある二人は、同じ道を歩くことができない。切ないです。

●最近70年代の映画にはまっています。『仁義なき戦い』は若き日の菅原文太や松方弘樹がよくて、エネルギーがすごい!!画面が埃っぽくて、登場人物がやたら汗をかいている。出てくる俳優の熱量を感じます。

●『消滅都市』というゲームのノベライズですが、何気ない街にやばいことが起こって人々が死んでいきます。生き残った少女は死者の魂を操ることができるようになります。
そして...というようにストーリーが読めない系なので楽しいです。

●『磁極反転の日』は、地球の磁場が乱れていってN極とS極が反転していく物語です。
東京でオーロラが見られるとか、電気機器類に甚大な影響があって、人工衛星が落ちてくるとか、携帯がつながらないとか困る状態に陥るのです。

●『レイククローバー』は寄生虫による奇病に襲われるパニックものです。命をおざなりに考える政治家の存在など、ありがちだなと思いました。

●『サバイバルファミリー』は東京に住む家族が、電気関係がすべて使えなくなった環境で生き抜いていくお話です。乾電池さえも使えず自給自足の生活を送るしかなくなります。近代科学のすべてが失われるという恐ろしい設定です。最後にその原因が解明されます。これを読んで、そうした事態になったとき生き抜くには?と考えるようになりました。
缶ビールでお米を炊く方法とか、お水を貯蓄しておくとか、いかに火を手に入れるのかとか。

●エドガー・アラン・ポーでいちばん好きな作品が『赤死病の仮面』です。多くの人が赤死病で死んでいく中、王は配下の者と城に閉じ籠って優雅な暮らしを続けます。外では人が死に、中では舞踏会という対比があり、でもある仮面の男の登場により王も命を奪われます。ポーの作品は、英語の単語のリズムが良くて文章がいいです。そういうところが魅力です。

●『指輪物語』を読み直しました。ハイ・ファンタジーの名作です。映画もいいですよ。

●『ゲノム編集を問う』を読みました。ゲノム編集の是非はありますが、出生前検診など、それを決める権利は子にあるのに、親が決めていいのかなど課題はたくさんあるようです。

●P・K・ディックの作品では、やはり『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』をちゃんと読んで親しんだらいいのでは。けっこう後半きついけど...。

●『バイオパンク』はサイバーパンクから派生したものですが、遺伝子のディストピアを描いたものです。

●ホーガンの『星を継ぐもの』は歴史的な人類の謎があって、いろいろ仮説を立てるが当てはまらない。論理的に組み立てて謎を解いていくところに醍醐味があります。名作です。

●SFを読まない人が最初に読んだらいいかなと思うのが、ハインラインの『夏への扉』です。時間旅行ものですが、読んだらスカッとします。

●SFの名作と言えば藤子・F・不二雄の作品がお薦めです。この間『幼年期の終り』(アーサー・C・クラーク著)が話題に出ましたが、藤子・F・不二雄でも『幼年期の終り』という作品があります。
地球を飛び立って5000年。コールドスリープで旅行をしてたどり着いたのは、ワープ航法が発見された後、すでに地球の植民地になっていた惑星でした。そして開発されつくしたその惑星から住人は地球に帰りかけているところでした。ようやく来た青年はどうするのかというのがすがすがしい物語です。

●京極夏彦の短編『幽談』の中にある「10万年」という作品は、地球人と宇宙人が話すという場面があって、でもあれは同じ時間に生きているという保証はないのでありえない。
自分の千年が相手にとって1秒かもしれない、というのを考えさせられました。

●『鬼談』というのもあって、鬼が出てくる物語で、お坊さんと鬼の対決とか、そもそも鬼とはというのをあらわしていきます。

●「エバーセブンティーン」はSFアドベンチャーで、物語は進むうちに仕掛けられた謎の全貌に行き当たるというものです。

●SFとして重いとうことでは『涼宮ハルヒ』もそうですね。ハルヒは、世界を創造した神という存在で、物語の中で夏休みがループしてしまうところがありますが、それはハルヒが夏休みが終わってほしくなかったから...。まわりの人たちは彼女をなだめて世界をこのまま平和にしておいてほしいと願うのです。ここでラノベに一言ですが、ちゃんと終わらしてほしいですね。

●『玩具修理者』は、時間というのが流れ続けているものではなくて、断片的にあるものを脳の存在が補っているという考え方で、興味深いです。

まだまだたくさんたくさん話題に事欠くことはなく、大変盛り上がりました。
次回は10月26日(木)です。興味ある方は来てくださいね。