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2017.12.01

12月のブックカフェ

ニュース

11月16日 OICブックカフェレポート

11月21日 衣笠ブックカフェレポート

11月30日 BKCブックカフェレポート

12月のブックカフェ

2017年11月16日(木)OICブックカフェレポート

寒さも厳しくなった日の夕方、OICブックカフェが開催されました。
本日の参加は、経営学部5回生の方、政策科学部1回生の方、総合心理学部1回生の方三人、総合心理学部2回生の方お一人が来てくれました。本日はお二人が初めての参加でした。

OICブックカフェレポート

今回は、パソコンを通じてスクリーンに話題になった本を映し出して語り合いました。

こんな本が話題になりました

●夏川草介の『神様のカルテ』を読みました。地域医療を背負っている大きな病院で24時間365日診察に終われる毎日の医師が主人公です。休みもない、専門外のことも見なくてはならない。そうした若手医師の悩みや人との関わりが描かれています。ちょっとできた人が多すぎる気はしますが、自然描写などが丁寧に描かれていて美しくてよいです。
また人間関係の変化も丁寧に描かれていて、送られていく人の生命ことなど、いかに生きていくのかを考えさせられます。

●最近は「ケルト神話」に興味を持っています。ケルトというのはヨーロッパの文化の基礎にあたる部分で、イングランドからオーストリア、スペイン、ブルガリアまでの広い範囲のことを言っていました。その中で「アーサー王」の物語は読むべしです。ブリテンから一度フランスに移って、またイギリスに戻ったところで、様々なアーサー王の物語の骨格は出来上がりました。アーサーは、歴史上いたかもですが、ほとんどはファンタジーで伝説上の物語です。長い間でキリスト教の「聖杯伝説」が融合していったり、西欧の文化の象徴とも言えます。とてもおもしろいです。

●父親から読めと薦められたのが、『震度0』(横山秀夫)です。警察ものなのですが、阪神大震災が起きた日の朝、警察官の失踪事件が起こります。テーマは「情報」で人に有利に立つためだったり、自身の保身のためだったり、重たい物語です。

●有川浩さんの小説でいちばん最初に読んだのは『塩の街』です。人間が塩化して結晶になっていくとう設定がとても怖いものでした。やはり大切なのは愛でしょうか。

●有川さんはいろいろ面白い物語を書いていますが、『阪急電車』は読みやすくておもしろいです。これを読んだ後、阪急電車に乗りに行きました。

●ウェディングドレス姿の人が乗ってきましたか(笑)

●『うみがめのスープ』は、何かの集まりの時など、いいネタになる本です。命題が与えられていてどうしてそうなのかを出席者は質問していって、出題者はYESとNOだけで答えて、答えを導くゲームです。荒唐無稽に思えるクエスチョンですが、答えが導き出されると納得できるおもしろさです。
問い:ある男がレストランでうみがめのスープを飲んだ。彼は驚いてその場を出て行って自殺した。なぜか。
問い:あるお店で店員に銃を突きつけた客が、「ありがとう」と言って帰った。なぜか。
答えは分かれば納得。それに導くまでの手順がいろいろありで面白いです。

●中村文則さんの『悪と仮面のルール』は暗い設定の暗い物語です。まず主人公が生まれつきの環境や衝撃的な体験によって自分自身の本質的な悪に気がついて煩悶しています。 何か意味がわからなくて難しいです。

●綾辻行人さんの『深泥丘奇談』は不可思議な現象が起こりますが、妄想なのか現実なのかがわからないところが不可思議です。綾辻さんの妄想なのかなと思いつつ読んでいます。

●前回、話題に出た米澤穂信さんの『春期限定いちごタルト事件』を読みました。主人公二人の空気感が不思議でおいしいスイーツが出てくるところがよいです。

●水野敬也さんの『夢をかなえるゾウ』はとてもためになります。テレビドラマを5回も見ました。まず靴をみがこうとか身近なところでのこだわりが効果を得られるというのが伝わります。

●先週のビブリオバトルで出ていた『神様に一番近い動物』も水野さんの本ですよね。
それに気が付いたとき、きっと発見の多いためになる本だと思いました。昔話を題材にしていても今に役立つ本です。すぐでも読みたいです。

●ほのぼの系のコミックですが、『パステル家族』は可愛らしくて大好きです。女子高生が主人公なのですが、ほのぼのとした仲良し家族が描かれています。これ見てぼーっとして癒されます。

●似たような絵柄のコミックで四コマ漫画なのですが、『OL進化論』と言って、OLたちのお気楽な毎日を描いていますが、ある時、電話に出たOLが「男の人を出せ!」と言われて出た課長が苦情を聞いて「専門の担当に変わります」と言って元のOLを電話に戻すとか、ちょっと気の利いたところもあります。また「35歳で独身で」というコーナーがあるのですが、アイロニーと哀愁に満ちていて大好きです。

●両親の本棚に置いてあった本で、川原泉が大好きになりました。いちばんお薦めは『笑う大天使(ミカエル)』です。史上最強の名門校に通う三人のお丈様が猫をかぶってい過ごしていましたが、ある事件をきっかけにお互いの本性がばれてしまいます。そしてある薬品で超人的な怪力を持ってしまいます。いかに!? 川原泉は持っている空気感が素晴らしくてつい惹きこまれてしまいます。

●『バビロンまで何マイル?』は降ら莉の主人公は、幼いころおじいさんを助けたお礼に指輪をもらいます。これは動物の言葉がわかる「ソロモンの指輪」をバージョンアアップしたもので、どの時代、その国の言葉も理解できるという優れものでした。そしてなんとこれはタイムスリップの機能付きで、恐ろしいことにどこの時代に飛ばされるか、いつも戻ってこられるか皆目わからないものでした。最初は恐竜時代に飛び、後半はチェーザレ・ボルジアの生き様を描く歴史物語になっていきます(元ネタは塩野七生です)

●『甲子園の空に笑え』というのがあって、これは庄司陽子の1972度作品のパロディです。めちゃ笑えておもしろいです。一部の登場人物を引き継いで、プロ野球を描いた『メープル戦記』もお薦めです。

●桜庭一樹さんが大好きで『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』などよく読みました。
そして思うのが桜庭さんの文章は世界でいちばん美しいということです。コンビニの「チーズ蒸しパン」のようにビジュアルがとてつもなく美しいのです。
どこがと言うとひらがな表記の多用です。あえてひらがなを使用することで、感情が描かれます。思春期の女の子の苦しく切ない様子が伝わります。

●文章がいいと言えば、僕は森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』が一番だと思います。
簡潔でそして分かり易い、多くのことが伝わります。独特の世界観の各表記が素晴らしいと思います。キャラも合っていますし。

●女の子の「お友だちパーンチ!!」が私も大好きです。

●朝井リョウさんの『何者』を読みました。この主人公がめちゃめちゃ好きです。SNSやインスタで自分を美化しても、わだかまりができて、結局は自分がみじめになるだけなど 自分の思っていることをどんどん言ってくれて、共感していいます。

●これまで読んでいちばんよかったのは、三田誠広の『いちご同盟』です。
15歳という思春期の時代に独特の世界観で大人びた恋愛をする子たちを描いています。
ヒロインは生きたいのに病気で死んでいく。その反対に元気なのに自殺することばかり考えている子もいる。『4月は君の嘘』で「いちご同盟」の中のセリフをいう場面があって、あ~と思いました。

●どうしてもみんなに読んでほしい本は『夜と霧』です。とてもグロテスクで読むのがつらくなりますが、収容されている人が、ふつうに生活していたときは思わなかったのに夕日を見て、「ああ、生きているな」と思うとか、その実感を思うと切ないです。
これはもちろん旧訳で読んでくださいね。

●おなじような作品と言えば『アンネの日記』がありますが、このアンネはめちゃめちゃませていて、大人びています。そして自分の不幸を悲しむのではなくて、美しいものを捜していこうという前向きな気持ちを持っています。

●その頃のことを知りたいと思えばNHKの『映像の世紀』がいいですよ。
21世紀と言えば映像で歴史が映される世紀ですが、その時代の戦争がよく描かれています。第二次世界大戦前のアメリカの繁栄や、以降の資本主義の絶頂期など目に見えるようにつかめます。

●『プロパガンダゲーム』は、戦時的宣伝のことで思想の刷り込みをどのようにやっていくかがわかります。こうして世論を動かしていくことで戦争への道は開けるのかもしれません。

●古本市とかに時々いくのですが、そこで旧字体の本に出会うといいなと思います。
同じ作品なのに雰囲気が違って見えてきます。これは日本語の美しさでしょうか。

たくさんいろいろな話題が出ました。次回は12月14日(木)になりました。誰でも参加できます。お時間の都合がつく方はいつでもいらしてくださいね。

2017年11月21日(火)衣笠ブックカフェレポート

寒さも極まった日の夕方、衣笠ブックカフェが開催されました。
今日の参加は、文学部1回生の方、2回生の方、3回生の方、産業社会学部の2回生の方でした。いつも来てくれる人も忙しくてお休みでしたが、たくさん盛り上がりました。

衣笠ブックカフェレポート

こんな本が話題になりました

●いい具合になってきたのが、江戸川乱歩のオマージュの美少年シリーズです。西尾維新はやっぱりおもしろいと思います。最新刊は『美少年椅子』です。

●小説のネタとして、最近 『哲学用語図鑑』を読んでいます。

様々な場で必要な哲学用語を直感的に理解できるようにしたビジュアルな図鑑です。
ニーチェやサルトルしか知らないのは情けないですよ。

●夏目漱石の『門』を読みました。親友を裏切って、その妻と結婚した主人公の罪悪感を描いた物語。 むなしいくらい平坦な描写です。でも日本における表現をいろいろ使い分けて書いた名作だと思います。

●その前の『それから』も変わったお話で、健康なのに働かず、父や兄の稼ぎで裕福な生活をしている30男が、自分の計らいで親友と結婚したその妻に懸想して、一緒に暮らしていこうとする物語です。人の道に外れるということで、父や兄の援助も失った主人公がこれからどうして生きていくのか、果たして二人の「それから」 はいかに?と気になるお話です。

●漱石はけっこう貫通系の物語を書いていますよね。長年教師をやっていたうっぷんを『坊ちゃん』ではちゃかすとかけっこうやりたい放題です。
大岡昇平とかにも影響を与えています。

●ダスティン・ホフマンの『卒業』ですが、教会で花嫁を連れ出した男が、その後、どうやって未来を形づけていけるのか、朦朧としてつかめないような描写がありますが、恋愛の裏腹にはこういうことが多くあってというのが文豪の小説にも見え隠れします。

●『その世界の片隅に』は戦時下の広島での物語ですが、けっこう自己主張もありですが、一番の見どころは生きるために工夫して、生活を積み上げていくところです。

●重松清の『ステップ』を読みました。母親が亡くなってしまった父子家庭のお話で、子どもの寂しさを埋めようと、父親が努力していきます。読ませる物語です。

●米澤さんのイベントに参加しました。金沢の人が「金沢は、大きな本屋がないですが、どこに行ったらいいでしょうか」という質問で、米澤先生が「アマゾン」と言っていたのが印象的でした。でも書店にいく面白さも語っていて本屋はほんとの出会いをする場所だし、発想の源であると言っていました。また「土地の力」について語ってくれていたのが面白かった。

●中村文則を読んだりします。その中で『何もかも憂鬱な夜に』が好きです。死刑囚の囚人がすでに人生を諦めていて、それがなぜなのかなどが看守の語りかけによって明らかにされます。その中で印象的な言葉は「誰でも芸術に関わる権利はある」でした。主人公は変わっていくのですが、やはり死刑の日はやってくるのです。

●鴎外の『高瀬舟』にも、似たような印象を持っています。高瀬舟を下るのは囚人で、その人がどうしてどんな罪をおかしたのかが少しずつ明らかにされていきます。これは安楽死の問題ですが、今にも通じるテーマです。

●小学校の図書館にひっそりと置いてあった本ですが、『君の可能性』では島秋人という死刑囚が出てきます。この人はずっと馬鹿だ馬鹿だと言われ続けて、自分の未来も信じられずに生きてきて、そして殺人を犯してしまいます。これまで褒められることのなかった島秋人ですが、人生でただ一度ほめられたことを思い出します。その先生に手紙を出して交流していくうちに、島は素晴らしい歌人となります。なのに死はやってきてしまうのです。
取り戻せない怒りとせつなさと人は誰しも変われるということを教えている本でした。 クラスのベストセラーになりました。

●罪と罰ということでしたら、東野圭吾の『手紙』があります。二人兄弟で弟を必死で育てていた兄が、お金に困って泥棒に入った先でそこの住人に見つかって殺してしまいます。
その日から弟の人生は一変します。殺人者の家族としてそしられ、差別をされてふつうの生活ができなくなります。そんな時働き先の社長は、「家族が差別されることも含めて罰なんだよ」と言われます。結婚もして、しばしの平穏さを保てますが。娘まで差別されていることを知り、苦しい中で理不尽さを感じた彼は兄との決別を決意をします。そしてここからはすごいのですが、弟が兄の慰問に刑務所に出向きます。そこでは・・読んでほしいです。
●そもそものドストエフスキーの『罪と罰』もいろいろなことが考えさせられます。罪を悔いる気持ちになること、それが大きな救いですね。

●海外文学も好きなのですが、エミリ・ブロンテの『嵐が丘』は衝撃的です。とても描写がさびれていて、荒野の中で主人公同士がお互いを求めてしまう気持ちが理解できます。

●私はどちらかというと姉のシャーロット・ブロンテの『ジェーン・エア』がお気に入りです。あの時代に一人で生き抜こうとする孤児の主人公が心力強いです。そして冴え冴えとした冬の風景の描写など心象風景とリンクしていて深いです。

●村上春樹の文章は海外文学を感じさせます。最初に英語で書いてそれを日本語にするとかの手法も関係していると思いますが、シンプルな文体で多くのことを語っています。

●島田荘司の『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』は、漱石のイギリス留学とホームズの生きていた時代は一緒だから 一緒に活躍させてしまおうというお茶目な本です。

漱石はシェイクスピアの研究をしっかりやっていたり、バックボーンが深いですし、イギリスの街を歩いていたら、鏡に映っている醜いやつがいた、日は自分だったとか、皮肉に満ちた気性も多分にあって面白いです。

●子供の頃にエンデの『モモ』を読みました。時間泥棒という観念も面白かったし、心に残っています。そういえばビブリオバトルのチャンプ本になった『星の王子さま』ですが、いつも言われるような「大切なものは目にみえないんだよ」とかは書かずに、超シンプルな文体で語っていること。そしてその内容は「孤独」と「愛」と「死」であること。王子が無知であるのに、実際は全知全能の存在だったりすることを話してくれました。記憶に残っています。

●石ノ森章太郎の『サイボーグ009』は、いろいろなシリーズがありますが、それぞれ改造されたサイボーグたち9人が悪と対峙します。001とかは赤ん坊なのにめちゃ賢くてあるシリーズではものすごく活躍します。機会があったらぜひ読んでください。

●コミックでいえば手塚治虫のライフワークの『火の鳥』は注目すべきものがとても多いです。未来編ではすでに西暦3400年になった地球は死にかかっており、人類は地下に都市国家を作って暮らしています。第2編で地球の最後を描き、第1編の黎明編では、卑弥呼の時代の日本を描き、ある物語では人類が霊長類のトップではなく、ナメクジが進化して帝国を作った時代があったなど、斬新な作品です。人間のさがと生命について考えさせられます。

●手塚でいうと面白いのは『ブラックジャック』です。いろいろなエピソードにびっくりしましたし。キリコという安楽死を勧める医者とそれに反対するブラックジャックとの戦いもよかったです。

●『宝石の国』というコミックは、宝石たちが意志を持って戦うようになるお話です。
彼らは死なないので「死」という概念を持っていません。また割れにくい宝石とそうでない宝石は区別されていて、割れやすい宝石たちは闘いの中心にいることはできません。かなり未来のお話で、むかし人間という生き物がいたと語られているくらい先の未来です。

●『ラパチーニの娘』は、短編集ですが、あるお話は、毒を含んで生きていた娘は息を吹きかけるだけで誰でも殺せるほどの殺傷能力を持っています。ある時、解毒剤を飲まされて死んでしまうという不思議なお話です。

●『キャプテンサンダーボルト』は阿部和重と伊坂幸太郎がタッグを組んだ上質のエンターティメントです。小学校の時同じ野球チームにいた二人が20代後半で再会し、一攫千金のチャンスにめぐりあった彼らは果たして・・という謎が謎を呼ぶお話です。

●「この門をくぐるものは一切の望みを捨てよ」というセリフで有名な『神曲』は面白いです。地獄篇・煉獄編・天国編とありますが、天国はいい人が行くところ、地獄はまったくの悪人がいくところ、煉獄はある程度苦行したら天国へ行けるかもの人が行くところで、地獄を前ににじたばたして逃れられないと進む決意をする主人公が面白いです。

●遠藤周作の『沈黙』なのですが、キリシタンが弾圧されていた時代のことで、宣教師は苦しい人生を余儀なくされます。原作にはない描写なのですが、映画では最後に救いをあらわしています。その宣教師が亡くなったとき、周りの目を盗んで日本人妻が宣教師の手にそっとロザリオを握らせます。彼はそのまま神のみもとに旅立ちます。

●キリスト教は一神教で、他何とも相容れない存在なので、なんでも受入れてあいまいもこの日本とは合わないのではと思ったりします。でもその当時苦しい生活の中でキリスト教に救いを求めたというのは否定できません。

今日もいろいろお話が出で大変盛り上がりました。
次回は12月19日(火)になりました。誰でも参加できます。いらしてくださいね。

2017年11月30日(木)BKCブックカフェレポート

冷え込んだ日の夕方、BKCブックカフェが開催されました。
今日の参加者は、理工学部3回生の方、経済学部3回生の方がお二人、情報理工学部3回生の方、そして生命科学部研究科2回生の方でした。久しぶりの登場がお二人、始めての方がお二人で盛り上がりました。

BKCブックカフェレポート

こんな本が話題になりました

●ヘミングウェイの『老人と海』を読みました。最初読んだとき、ぜんぜん意味が分からなくてどうしてこれが名作と言われているのかわかりませんでした。そこで読み方を変えて何か裏に隠されている意味があるのではと思って、疑問を一問一答式で自分の中で考えて、違うかもしれないかもだけど、答えを出していくようにしました。文章の中に「少年がいたらなあ」というのがあって、それは年を重ねて欲求などなくなっていく中で若さの象徴として友情を持っていたいという老人の心をあらわしているのでは・・?などと考えながら読むととても楽しくなりました。

●自分と他人と交流がうまくなりたいと考えていて、『気持ちの整理』などハウツー本をたくさん読みました、まだ効果は感じ取れていません。

●小野不由美は何でも書けるホラーよりの作家さんですが、その中でも『十二国記』は特別です。異世界を描いたファンタジーですが、その作りこみがすごくて魅入られてしまいます。
でも最初の本は読むのがつらかったです。異世界に飛ばされた主人公がいじめられて、ようやく親切な人と知り合って、よかったなと思っていたらその人に売春宿に売り飛ばされそうになるとか、救いがない感じでつらかったです。でも最後はよかったです。

●小野不由美は『屍鬼』がお薦めです。最初、単行本上下で読んだのですが、情感が全然面白くない。説明調で、町医者と住職の内面を深く掘り下げる描写が永遠に続くとか・・。
でも後半になると、物語が走り始めて、スピード感がハンパなくて尋常でない。面白いです。
ぜひ前半を耐えて乗り越えてください。

●『残穢』もおもしろいです。不幸なことが起こる土地の歴史に焦点を当てた物語です。ぞくっとします。

●有川浩の『図書館革命』は深いところがあります。表現の自由をどうやったら失わずに守れるのかというところで、物語の中で、政府は一つの言葉を規制したがっている。人は一つくらいならたいしたことないと思われがちですが、その言葉を使っている本を否定するために仕掛けていくのです。小さなことを許すことから、大きな転落は始まるのです。ちゃんと見る目を持つことが必要だと感じました。

●みなさん、もうご存知のことだと思いますが、『図書館戦争』シリーズの元ネタは、レイ・ブラッドベリの『華氏451度』です。451度というのは紙が燃えていく温度のことで、舞台は本の所有が禁じられた社会。主人公はファイヤマンといって、禁じられた本を見つけると出勤して焼却するのが仕事です。表面上は穏やかな社会ですが、人々は思考力と記憶力を失っており、その中で主人公はある人を通して本と出会い、活字の価値に気がつきます。
今の社会へ疑問を持ち、追われる立場となっていくという物語です。
有川浩の著作は、ちょっと「あまあま恋愛テイスト」が入るので、見失いそうですが、書かれていることは同じだと思います。

●P・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』は名作です。火星が植民地化されて、人間は地球から火星に移住している時代、一人一体のアンドロイドを持つ世の中になっています。火星から逃亡するアンドロイドを処理する役割の人間が、改造人間が感情も記憶も持っていることに気づく。主人公はあまりにも出来上がっているアンドロイドを目にして、人間とアンドロイドの区別がつかなくなっていく。人間とアンドロイドの境目は?という現代的なテーマが語られていいます。

●最近読んだ本で梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』、特別面白いです。学校で居場所がなくなった少女が外国人である祖母の元に引き取られます。自然にあふれた生活の中、テーマである人の死が語られます。2年後亡くなったおばあちゃんの家を再び訪れたとき、少女はおばあちゃんとの約束の痕跡を目の当たりにするのです。これ以上はネタバレになるので言えませんが絶対読んでほしい本です。

●中嶋らもは、破天荒で薬中ですが、魅力あふれる本を残しています。
『恋は底ぢから』はめちゃめちゃなエッセイですが、らもさんの恋愛観が見え隠れするのが面白いです。

●『エキゾティカ』もなにがなにやらで、香港返還の日 ゲテものを食べ続ける男が出てきたり・・・。

●らもが初めて、の人に読んでほしいのは、『ガダラの豚』はめちゃ面白いです。
主人公はアフリカの呪術を専門とする文化人類学者。今はりっぱなアル中。
新興宗教のインチキを暴いたりなどわくわくする物語が展開します。前にあったドラマ「トリック」の読む版といった趣向の本です。

●『明るい悩み相談室』は、読者から送られてくる悩みに対してらもさんの絶妙の解答を楽しめる本です、読んでくださいね。

●『今夜、すべてのバーで』は真正面から自身のアルコール中毒の毎日を描いています。

その禁断症状とか、とてもリアルです。そんなに飲んで肝臓をいためたら、もちろん長生きはできない。抗おうとはしなく、破滅につっぱしっていく様子が怖いです。でもそういうところが中嶋らもの魅力かも・・。

●最近、日本史の教科書が変わると話題で、武田信玄が龍馬や新撰組の表記が無くなるそうです。武田信玄は「風林火山」でとても魅力的な武将ですし、ちょっと残念です。

●今の龍馬像は、司馬遼太郎の『龍馬がゆく』がなければ、語られなかったものです。
本来的な龍馬像だったのかはわからないですから、なくなっても仕方がないかもですね。

●本屋で探して、ようやく3件目で買えた本が、『昭和天皇物語』です。展開は遅いけれど物語は早いです。つまり細かくゆっくり進んでいるのだけれど、いきなり10年が飛んだりとか、でもとても興味のあるコミックです。

●作者が半藤さんですよね。だからちょっと右寄りかもしれません。『日本のいちばん長い日』を書いた方です。終戦日のあれこれを深く書いた物語です。

●最近『騎士団長殺し』を出した村上春樹ですが、エッセイはOKなのですが、小説がまったく読めません。自分に酔っている文体がどうしても受け入れられないのです。
物語の中に作者の顔を透けて見えるのもダメなのです。

●今年のノーベル文学賞受賞作家のカズオ・イシグロですが、『私を離さないで』も先ほどの『アンドロイドは・・・』と似通っていて、人間とAIの対比ではなくて、人間とクローンの対比が考えさせられます。クローンに人権はないのかなとか・・。

●『燃えよ剣』は司馬遼太郎を読むなら最初に読んでほしいです。いつもの余談があまりありませんし、三人称で読みやすいですし、何より土方歳三が魅力的です。個人的に愛人お雪との描写のシーンがすごく好きですし。土方が沖田総司の見舞いにいって、どこかへ旅立つといったときに、あの人に伝えなくてよいのかと沖田が言った時に土方がくっとした表情を見せるところもいいなと思います。とにかくこの物語は最後まで、土方の滅びるまでを描いているのがすごいです。

●『国取物語』もすごいです。美濃の齋藤道三から織田信長へと続く国取りの流れを見せています。美濃のお殿様が道三に追いやられて国も愛妾も奪われて、貧しい船で逃げるところが泣かせます。勝つものと負けるものがはっきりと描かれています。

●『花神』も好きでした。長州の村医者の村田蔵六が大村益次郎となって長州征伐と戊申戦争に勝利の立役者となります。物語の最初は、穏やかな日常が描かれており、妻が無類のヒステリーで困り切っている様子とか、湯豆腐が大好きで幸せそうな様子とかそんなところも好きでした。

●この間映画にもなった『関ヶ原』ですが、自分がいちばん監督を評価したのは、有村架純が伊賀の忍びとして出ますが、よいところで物語からフェイドアウトして関係のない忍びを忘れて映画を楽しめたところです。

●司馬遼太郎でいえば、廃藩置県の時代、薩摩の島津久光が花火を挙げさせて見ていたという表記が時代の終りを象徴するようで大好きな描写です。

●塩野七生の『ローマ人の物語』ですが、これは小説と呼べるのか疑問です。司馬遼太郎以上に作者が前に出てきています。

●山田悠介は中学の時に話題になっていましたが、僕はもうそんなの遅いよとすかして同級生を下に見ていました。

●『金色機械』は、SFファンタジーサスペンス風時代小説と言えるもので、江戸末期や今川時代など、年代や視点がころころ変わるけれど、「金色様」という超絶したものの存在があって、現代以上の武器とか持っていて勝てないので、お互い不干渉となっている不思議なものの存在があって物語が進むと全体としてだんだん中身が見えてくる構成にやられました。傑作です。

●倉田由美子の『大人のための残酷童話』は本当に怖いです。
みんなもよく知っているかぐや姫ですが、月に帰るところまでは、そのままで、その時にみんながかぐや姫を戻してと願います。そうしたら月に向かっている途中で、かぐや姫も戻りたくないという気持ちを持っていましたので、お付きの方達が「それなら戻してやる」と言ってかぐや姫は地上に戻されます。さあよかったとなるかと思えば、かぐや姫は月の人々の恰好になっておりました、ぶくぶくと膨れた丸い体型の目も口も落ち込んで見えないほどの物体に変わっていたのです。これでは地球では幸せになれませんよね。

●この間ここで話題になっている有川浩の『キケン』ですが、めちゃめちゃはじけて面白い青春小説です。私はお店の子の活躍する学園祭のラーメン売りのお話が大好きですが、ラストのところで泣かせるノスタルジーの味わいも大好きです。

●自衛隊三部作で『塩の街』『空の中』『海の底』がありますが、その中で『海の底』が好きです。海底にザリガニのおばけのような生物が現れて日本中が混乱します。そのせいでサブマリンに子どもたちが隊員と一緒に閉じ込められます。すごくドキドキして果たして人類は勝てるのかと心配になります。傑作です。ただ閉じ込められた13歳の女の子と隊員の「あまあま」が始まってしまうのが、有川らしいというか「あーあ」と思ったりします。どれも有川浩の原点と言える作品です。

あっと言う間の2時間でした。次回は、12月21日(木)になりました。
誰でも参加できます。いつでも いらしてくださいね。