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2019.07.16

6月度トークイベント開催報告 第3段

ニュース

2019年6月21日(金)永田美江子先生トークイベントレポート

よく晴れた日の夕方、平安女学院大学国際観光学部准教授の永田美江子先生の『「女子力」を活かすホスピタリティ教育』の刊行記念ト-クイベントが開催されました。永田先生は立命館の卒業生で、応援団のチアリーダー部でご活躍されていました。

会場は9人の参加でしたが、ツイッターを見て参加を決めた国際関係学部の1回生も駆けつけてくれて、アットホームなうちに会は進みました。
最初は応援団出身らしく、「グレーター立命」の応援歌が流されました。そして永田先生と共に、応援団の後輩であり、心理カウンセラーの植田律子さんが司会&イベントパートナーとして登場されました。

永田:こんにちは。私は永田美江子と申します。我が母校立命館に呼んでいただき、本当に光栄です。今から思うと私の大学時代は応援団一色でした。ゼミの先生から「あなたは、教室にいるよりも以学館前でよくみかけますね。」といわれていたものですが、応援団に入ったきっかけは、入学式でたまたま隣に座っていて仲良くなった友人が、チアをやりたいと言ったので、入りました。その友だちは早々にやめたのですが、私は、最後まで貫きたかったのでしつこく4年間続けました。
チアリーダー部での活動は、やりとげた感覚があって、とても面白かったです。女の子ばかりでしたが、サバサバしていて、上下関係は厳しくて、リーダー部と吹奏部と一緒になって、いろいろなところにも行って充実していましたし、立命魂が培われました。上回生になったら、学内を歩いていると学ランを着たリーダー部の後輩が、「ちわーーーっす!」とチアの私にも挨拶をしてくれてどきまぎしたりしました。そういう意味では、応援団は男女の垣根はなかったように思います。

植田:私は、永田先生とは違い、同じ応援団でもリーダー部のマネージャーをしていました。バブルに片足残した時代に、学ランに羽織袴という時代錯誤かもしれませんがそういう中にいました。今は茨木キャンパスに拠点が移ったのが残念です。
では、本題に入っていきたいと思います。まずは永田先生に「女子力」というものについてお話してもらいましょう。

永田:このイベントは「女子力と就職サクセス」というタイトルですが、誤解のないようにまず「女子力」についてお話をさせてください。「女子力」を兼ね備えた男子もいますし、性的マイノリティもありますので、いろいろ広い意味に取っていただければと思います。なによりも「女子力」は女らしさとか女らしくするということではなく、時代とともに進化していることをぜひ、知っていただきたい。そして、現在の「女子力」は4つに分類することができます。
①男性志向 ②女性志向 ③自分志向 ④仕事志向です。
男性志向は、「モテ」ですね。男性に愛される女性になること。
女性志向は、女の子(同性)から憧れられる女性になること。
自分志向は、自分の楽しみのために力を注ぐこと、仕事志向は、仕事をばりばりと行うこと。

今日のテーマの就職サクセスにもつながりますが、「女子力」の中でも仕事志向は、仕事における気配りが働くこと、マネジメントの場において重要です。これは、男女の区別はないと思います。今の時代は私たちが就職活動をしていた頃とは比べ物にならないくらいに、就職を重視していますよね。いいか、悪いかは別として学校生活をいかに就活に役立たせるかみたいな風潮があります。
私の職場である平安女学院大学では「レセプショニストクラブ」というのがあるのですが、これはコンサートや式典などの受付、司会をとおして接遇を学ぶというクラブ活動です。全員がスーツにスカーフをします。この姿は航空会社のCAを模しているのです。クラブ活動によるCAやアナウンサーなどの疑似体験の場ともいうことができます。この「なんちゃってCA」の恰好をする過程で変化が起こります。それを私は「形から入って内面を整える」といっています。活動をするにあたっては、普段の服装からまずスーツに着替えます。そうすると背筋が伸びます。次にスカーフを巻きます。みるみる様子が変わります。スカーフ効果というのでしょうか。気分が高揚するのか振る舞いが変わってきます。背筋がのびて、しゃきっとするのです。そしてスーツにスカーフで、例えば観光ツアーのお客様を案内する仕事をしてみます。そうすると、対応に変化が出るのです。思い込みかもしれませんが、スーツとスカーフでCAのように接遇をしたという疑似体験によって、心の変化が生まれます。

植田:私には娘が二人いて、ひとりが制服ありの学校で、ひとりはなしの学校だったのですが、制服があった学校に通っていた娘のほうが、愛校心が強いです。心理カウンセラーの立場からいいますと、制服には2つの効果があって、社会的アイデンティティが確立されるという実用的なものと、個性を無くすという心理的なものがあります。
レセプショニストクラブの制服は憧れから始まりますが、その他にも制服を身に着けて仕事をする職業はたくさんあります。警察、鉄道員、薬剤師、医者など。そのどれもが、着ることからきりりとした表情に変わっていきます。これは思い込みによる効果(フラシーボ効果)と言えます。フラシーボ効果というのは効き目のない錠剤をよくきくと聞いて服用すると病気が快復するという効果です。例えば500円の化粧水を1万円のボトルに詰めて試供してもらうと誰もがいつもおり効果があると答えるのと一緒です。
制服はそうした多大な思い込みが存在します。就活という名の戦場でのリクルートス-ツは同じようにみえて同じではありません。そこに熱意のすべてが現れます。
就活の面接は、数分で終わります。その短い時間で自分のことを知ってもらわなくてはなりません。いちばん大切なのはまず自分のことを認識してもらうことです。人間の視覚は心とダイレクトにつながっています。知らず知らず「身だしなみ」をチェックしているのです。
気合が大切です。思い込みでアイドルも美しくなっていきます。
そうして取り組むと企業の見る目も違って来ます。

永田:人間の持つ思い込みの気持ちによって、よいビジネスパーソンになることが可能というわけですね。企業では、それをホスピタリティマネジメントにうまく入り込んでいっています。ですから、ホスピタリティマネジメントを実践している企業、特に、観光や航空、宿泊などのホスピタリティ産業で働くには、顧客満足の考えを体現できる人材を求めています。顧客満足とは、どういうことかといいますと。公式をご紹介します。
これが、公式です。

期待結果 → 満足

期待結果 → 不満足

結果結果 → 記憶に残らない

私たちはお客様になったときに、誰もが事前の「期待」を持っています。「期待」以上の結果を提供された時は満足で、「期待」以下の時は不満足です。それでは同じようなときはどうでしょう。それは印象に残りません。就職にサクセスするためには、いい意味で相手の期待を大きる裏切り、期待以上の結果をだすことが大切です。
そのためにはどれだけ、プラスアルファなことをするか。です。
就職講座などでも、最近はどこの大学でも就職講座に力をいれているし、ビジネスマナーの向上についてはどこの大学もやっています。そうすると一通りのことはみんな知っています。でも、大切なのはここからで、スーツでもただ単に着ているいるだけではだめなのです。着こなすことができて初めてプラスアルファとなります。プラスアルファができると、他と差別化ができ、気持ちに余裕をもつことができる。余裕があると第一印象である「インプレッションマネジメント(初等効果)」にもいい影響を与えます。人は何を話しているかよりもどう話しているかの印象がより残り、誰も最初の印象に引きずられるのです。だから、それを自分のものにするのが余裕です。
相手の期待にいかに応えられるのか、就職サクセスの要です。

それでは、サクセスのためのスーツの着こなしについてお話いたします。まず自分の短所をカバーする、例えば私は首が短いのでタートルネックなど首のある服は苦手です。また自分のパーソナルカラーをご存じですか。似合っている色を見つけることは大切です。私も赤茶色を来たときに合わないと言われて、それ以来着ていません。色もですが、衣服と靴のフィット感も大事です。自分の足に合っていない靴を履いたとき、歩く姿勢が美しくありません。足にあった靴を選ぶこと。そして服を着こなすこと、そこから余裕が生まれます。

植田:ナチュラルなスーツを着こなしていくと、おしゃれに見えますね。コーディネートのコツは3色以上使わないことです。パリジェンヌをみてわかるようにシンプルなおしゃれが素敵です。ポイントはトップスの長さです。トップスはボトムの長さとけっして1対1ではいけません。ボトムがマキシ丈だったら、トップスは短めにしましょう。ハイウエストにすると足が長く見えます。同系色の服の微妙に明るさが違う色を合わせるのはやめましょう。そういうことができて映えるのは上級者のセンスがあればこそなのです。

永田:植田さんが、着こなしのコツをいってくれましたが、上質ばかりの統一は美しいですが、上質でないものばかりの取り合わせは美しくありません。1つでもいい場所に出て来れる服を持ちましょう。ブランドを意識するよりもトレンドを意識することも忘れないでいただきたいです。また、若さはブランドより大きなブランドと言えます。学生さんたちは自分に自信を持ってください。そして、いろいろな挑戦をしていきながら自分に似合うものを見つけましょう。必ず見つかります。自信と余裕がキーワードです。
お店で店員さんに勧められて断れないような人はネットで買うこともいいと思います。そして、新しい洋服を着た自分を360度見て、判断しましょう。表情から目線から中身をアップさせて、自分で自分の応援団になることです。
私の学生時代を振りかえると、立命館は青春を過ごした母校なので思い入れがあります。
ただ学生時代に足りなかったと思うものは、多くの人とのコミュニケーション、そしておしゃれでなかったことです。でも今は、それを取り返すかのようにおしゃれに関心があります。人って変われるものなのです。また、これからは余裕を持って人生を生きていきたいですね。
「ホスピタリティ」は「おもいやり」です。その思いやりも自分に余裕があるとさらに人に何かをしてあげたくなるし、表現することが可能になります。そして「ホスピタリティ」は実践型の学問です。

植田:永田先生の『「女子力」を活かすホスピタリティ教育』は学術論文でありますので、少し難しいところもありますが、参考になる部分も多いかと思います。みなさん、就活の面接の際は時間ギリギリに、会場に駆け込んで、汗だらけのまま臨むのではなくて、汗を拭いて、息を整えて、余裕を持って臨んでください。その余裕がきっと皆さんを就職サクセスへ導いてくれます。今日はどうもありがとうございました。

永田:立命館の学生さんのさらなるご活躍と就職活動の成功をお祈りします。ありがとうございました。

自らを表現するための衣服の重要さや心構えについて語っていただきました。
永田先生ありがとうございました。

その後、国際関係学部1回生の方から質問がありました。

学生:これからバイトの面接に向かうのですが、どういう服装がいいでしょうか。
先生:どんな職種ですか。
学生:カフェの店員です。
先生:それだったら、制服がありますので、面接時は普通の服装で大丈夫ですよ。今の服装でもいいですね。ただオフィスカジュアルという考え方があって、そちらの方のように襟付きで袖付きの服装を選ぶと失礼にあたりません。

それから本を購入いただいた学生へ先生が丁寧にサインをしてくれました。

最後に先生を囲んで記念写真を撮りました。