梅雨の時期はじめじめしてなんだか憂鬱ですね。しかし、こういうときこそ食中毒に注意しなくてはなりません。食中毒のみならず、身近に潜む感染症にも注意しましょう。この記事を読んでしっかり予防しましょう。
原因菌はこれだ!
現在日本で食中毒原因菌に指定されているのは16種類です。その中でも、特に注意が必要な原因菌は、カンピロバクター・サルモネラ属菌・腸炎ビブリオ菌・黄色ブドウ球菌・病原性大腸菌の5つです。
・カンピロバクター
すみか:家畜や鳥類、イヌ、ネコなどの腸に存在し、その排泄物により汚染された食品や水を介して感染します。人から人への二次感染も起こります。
要注意食材:鶏肉
・サルモネラ属菌
すみか:卵の表面(殻)はもちろん、中身も汚染されている可能性があります。
要注意食材:肉、卵
・腸炎ビブリオ菌
すみか:海水に存在するこの菌は、海産魚介類に付着して食中毒を引き起こします。海水温が上昇する夏季はとくに注意が必要です。
要注意食材:海産魚介類など
・黄色ブドウ球菌
すみか:人間の鼻やのど、傷口やあかぎれなどをすみかとしています。ブドウ球菌は少々の塩気はもちろん、塩漬けの中でも生き続けることができます。毒素を産生し、加熱で菌は死滅しても毒素は残ります。
要注意食材:食品全般
・病原性大腸菌
すみか:動物などの腸管内に存在します。通常、細菌による食中毒は原因となる菌が約百万個以上体内に入らないと発症しませんが、病原性大腸菌O-157はわずか数個から数十個の菌があれば発症します。
注意食材:肉、井戸水などの水
☆食中毒の症状☆
・カンピロバクター
下痢、腹痛、発熱(初期)、頭痛、下肢痛など
・サルモネラ属菌
発熱、粘血便、腹痛など
・腸炎ビブリオ菌
下痢、腹痛、発熱など
・黄色ブドウ球菌
嘔吐、下痢、腹痛など
すぐに医療機関にかかろう
激しい腹痛や下痢、血便、嘔吐などの症状がある時は、すみやかに保健センター、またはその他の医療機関にかかりましょう。
未然に防ごう
食中毒にかからないように積極的に予防しましょう。
6つのチェックポイント
ポイント1 食品を買うとき
肉、魚、野菜などの生鮮食品は、新鮮なものを購入しましょう。
冷蔵や冷凍などの温度管理が必要な食品の購入は、買い物の最後にし、購入したらすぐに持ち帰るようにしましょう。
ポイント2 食品を保存するとき
冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍に入れましょう。
食品は早めに使い切るようにしましょう。
ポイント3 下準備のとき
調理をする前に、必ずよく手を洗いましょう。
手に傷がある時は直接食品に触れないようにしましょう。
生の肉や魚を切った後、必ず包丁やまな板をよく洗います。そして、果物、野菜など生で食べる食品や、調理の終わった食品を切りましょう。包丁やまな板は必ずよく洗い、熱湯をかけてから使いましょう。
ポイント4 調理するとき
加熱して調理する場合は十分に火を通しましょう。
ポイント5 食事のとき
食卓につく前に必ずよく手を洗いましょう。
作ったらすぐに食べましょう。
ポイント6 残った食品を食べるとき
残った食品を温め直すときも十分に加熱しましょう。
少しでも怪しいと思ったら、食べずに捨てましょう。
感染症にも気をつけて!
食中毒もそうですが、その他の感染症にも注意が必要です。感染症は季節を問わず、年中対策が必要です。日ごろ生活を送る中でみなさんはどれほど気をつけていますか? 最近ではノロウイルスが猛威を振るいました。トリインフルエンザの人への感染も注意が必要です。また、これら以上に脅威を与えるウイルスが増えてくる可能性があります。こういった新しい情報に気をつける必要もあります。
原因菌はこれだ!
・ノロウイルス
ノロウイルスによる感染性胃腸炎や食中毒は、1年を通して発生していますが、特に初冬に流行します。
ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします。ノロウイルスは食中毒だけでなく、空気感染を起こします。吐物が乾燥して空気中に浮遊するとその空気を吸い込んで感染します。吐物の適切な処理・消毒が二次感染を予防します。
予防:基本的に上記の食中毒と同じですが、貝類の内臓を含んだ生食はノロウイルス感染の原因となることがあります。しっかり加熱して食べましょう。
・インフルエンザ
インフルエンザの場合は38℃以上の発熱、頭痛、関節痛など症状がみられ、あわせて普通のかぜと同様の、のどの痛み、鼻汁などの症状も見られます。さらに、気管支炎、肺炎などを併発し、重症化することもあります。
予防:予防の基本は、流行前にワクチン接種を受けることです。インフルエンザは、インフルエンザにかかった人の咳、くしゃみ、つばなどの飛沫と共に放出されたウイルスを、鼻腔や気管など気道に吸入することによって感染します。外出先から帰ったら必ず手洗いとうがいを施行して下さい。インフルエンザが流行してきたら、特に高齢者や慢性疾患を持っている人や、疲れていたり、睡眠不足の人は、人混みや繁華街への外出を控えましょう。
海外でも気をつけよう
国内ではまだ報告されていない感染症が世界で数多く報告されています。海外渡航する際にはそれなりに注意する必要があります。
・渡航前
検疫所や保健所などを利用し、渡航先の衛生状況や流行している病気などの情報を得ておきましょう。また、必要な予防接種は事前に受けておきましょう。
・渡航中
体調に気をつけましょう。海外旅行では、長時間の移動や時差、気候の変化などで疲れやすくなっています。体調が崩れると抵抗力が落ち、体に病原体が侵入すると簡単に病気になってしまいます。無理な日程を避け、睡眠や休養を十分に取りましょう。
・帰国後
帰国時すでに症状がある場合は、検疫所に申し出ましょう。また、その後の症状が出現した場合はすみやかに医療機関を受診し、渡航していたことを伝えましょう。
保健センターはここ
保健センターは、衣笠は志学館1階、BKCはコアステーション1階にあります。保健センターでは他の病院や診療所と同様に診察を受けることができます。保険証をもって受診してください。
衣笠
BKC
保健センターよりご連絡です
毎年初夏になるとよく目にする、「集団食中毒」の文字。マスコミの報道を見ていると、食中毒の大半が、レストランなど外食産業や学校・幼稚園などの給食、医療機関などで発生していると思っていませんか? でも、実際は家庭での発生が最も多いのです! 一人暮らしを始めてから、初めての夏を迎える方も多いはず。食中毒の予防の基本は、細菌を
1.付けない
2.増やさない
3.やっつける
です。前述の注意を守り、自炊を楽しみましょう。
また、「夏ばて」を防ぐことも大切です。「夏ばて」は室温と外気温の差が大きな原因です。自分で室温を調節できないところでは、上着やひざ掛けを使えるように、いつも用意しておきましょう。冷たい飲み物を飲み食いしすぎないことも大切です。
また昨年、海外での狂犬病の感染が話題になりました。すぐに、現地の医療機関を受診すれば助かっていたと思われます。マラリアやデング熱など、日本にいると考えもしない感染症に罹(かか)って帰国する場合もあります。現地のいいところだけでなく、危険についてもあらかじめ情報を集め、準備・対処をしておきましょう。また、帰国後1ヶ月は体調に十分に注意し、不安な症状が出現すればすみやかに保健センターや近隣の医療機関を受診し、渡航していたことを伝えてください。