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2018.12.07

12月3日(月)百木獏先生&山本圭先生 トークイベント開催報告

ニュース

2018年12月3日(月)百木先生と山本圭先生のトークセッションを開催しました!!

12月の月曜日の午後、立命館大学専門研究員の百木獏先生をゲストに迎え、法学部の山本圭先生のMCでトークセッションを開催しました。

「学生時代に読んでほしい本10選」と題して推薦図書をご紹介いただきました。
20人以上の学生さんたちが駆けつけ熱心に聞いていらっしゃいました。

百木先生は一度就職されていたのですが、会社での働き方や日本人の労働観に疑問を覚えて仕事をやめることに。会社があってないのでは...とモヤモヤしていて、労働とは何か?ちゃんと学んでみようと思ったそうです。
今年2月に人文書院から刊行された『アーレントのマルクス』ではアーレントとマルクスという二人の思想家が扱われていますが、百木先生はアーレントのマルクス批判を読み解くことによって、現代の労働問題に繋がる視点を取り出すことができると考えられたそうです。マルクス研究では労働というカテゴリーが研究されつくされている感があるのに対して、アーレントの労働論はまだまだ未開拓で、研究する意義があると感じられたとのことでした。

アーレントは『人間の条件』のなかで人間の営みを労働・仕事・活動の三つに分けています。労働は生命維持の必然性を満たすために行われる営み、仕事は耐久的な物を製作することによって世界を形成する営み、活動は言語を介して他者とのコミュニケーションを行う営みをそれぞれ意味しています。従来のアーレント研究が「活動」や「公共性」を中心になされてきたのに対し、百木先生は「労働」や「仕事」に注目した研究をなされています。

アーレントはドイツ出身のユダヤ人で、ナチスからの迫害を逃れて、20年近く亡命生活を送ることになりますが、その経験を通じて、全体主義というテーマに生涯をかけて取り組むことになりました。そのなかでも百木先生は、労働と全体主義が密接な結びつきをもつことに注目をされています。近代とは労働が特権的な地位を占める時代であり、その延長線上に全体主義が出現してきたとアーレントは考えていたそうです。
最後の質問タイムでは、多くの質問が途切れることなく出されました。

「本を読むことで知識が増えるけど、社会や政治は何も変わらない、それなら初めから読まない方がいいのでは、知らない方がいいのでは?」という鋭い質問が。山本先生は「本を読むことでまず自分が変わる、そして人生や社会との付き合い方が変わる。また難しい本は一人ではなかなか読めないけれど、読書会を通じて、皆で議論し合いながら読んでいくこともできる」と、読書も仲間と一緒に取り組んでいこうというメッセージを送っていただきました。

終了後も、去りがたい学生さんがたくさん。最後まで質問に丁寧にご対応いただきました。
多くの学びを得られたトークセッションでした。
百木先生、山本先生大変ありがとうございました。