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2019.11.21

10月のブックカフェレポート

ニュース

2019年10月1日(火)衣笠ブックカフェレポート

雨になりそうな日の夕方、衣笠ブックカフェが開催されました。本日の参加者は、産業社会学部1回生の方、4回生の方、文学部1回生の方、2回生の方お二人、3回生の方、4回生の方、そしてスペシャルゲスト!OICから政策科学部の1回生の方が遠征してきてくれました。

こんな本が話題になりました

●アガサ・クリスティの作品を読み返しています。『崖っぷち』がとてもおもしろかったです。結婚した女に嫉妬して、主人公がその女の不倫を追い詰めて自殺させてしまいます。それをきっかけに主人公は心の病に陥っておかしくなるという物語です。まさに「いやミス」です。
◎クリスティと言えば、いちばんの有名作品は『そして誰もいなくなった』ですよね。あの斬新なトリックは驚きでした。簡単に思いつきそうですが、誰もが描かなかったトリックで、孤島のあやしい雰囲気と一人ずついなくなるという恐ろしさがマッチしています。
◎『オリエント急行殺人事件』は陳腐といえば陳腐なトリックですが、やはり謎が解けたときに驚きました。

●休みの間は伊坂幸太郎の『ゴールデンスランバー』を読み直しました。首相暗殺の犯人とされた主人公は、巨大な陰謀に包囲され追跡される。孤独な逃走の中で謎が見え隠れする。ビートルズのメロディと相まっておもしろいです。映画化もされています。

●湊かなえの『夜行観覧車』を読みました。念願かなって憧れの高級住宅地に越してきた一家。でもそこは婦人会が町のしきたりや近所付き合いのすべてを仕切っていて、一家はあるききっかけから様々な嫌がらせを受けるようになります。唯一向かいの家との交流が慰めで、母親どうし親友のようになります。でもいろいろその関係も変化していきます。この街のシンボルの観覧車を背に2つの家庭の崩壊を描きます。これこそ「いやミス」の王道です。

●湊かなえはデビュー作の『告白』を読んだとき衝撃を受けました。こんなやるせない復讐譚があるのかと驚きました。「いやミス」の誕生ですね。

●はやみねかおるの怪盗クイーンシリーズの新刊を読みました。『モナコの決戦』と『ニュースの休日』です。怪盗クイーンはあらかじめ犯行予告を出してから盗むという美学を持った神出鬼没な怪盗で、とても面白いです。

●カクヨミから出た『異修羅』なのですが、これは新時代のスタンダードになる可能性を持った作品です。勇者を募集して闘わせる物語ですが、異能力バトルものとも言えますし、戦略戦でもあります。でもまだ1巻では人物紹介くらいでまだ物語は始まっていません。これからが楽しみです。

●この間、教育実習に行ってきました。日本史専攻なので日本史を教えるはずが、世界史もやってくれと言われて、南北戦争を教えました。南北戦争は奴隷制の解放運運動だとされていますが、北部の工業国と南部の農業国との争いでもあって、高度な政治的政策が展開されていました。初めて工業力・鉄道・電信が闘いの行方を決めた戦争ともなっています。

●『サイコパス』は近未来もので、警察の出てくる群像劇です。「踊る大捜査線」の本広監督が関わっていて、「人々の精神が数値化され、管理される」という世界観のもとに作られています。

●朝井リョウさんの『死にがいを求めて生きているの』は図書館の貸し出しの順番を待ってようやく読めました。人間には海族と山族という区分けがあって、それぞれ相容れないで世界を作っている・・・という世界観から少年たちの日常の生活、成長してからの様子が描かれますが、切磋琢磨頑張らないと生きていけなかったり、立ち止まると死んでしまうような人が書かれていたり、ちょっとつらかったです。人間の悪意も書かれていて、すごいなと思いました。
◎この物語は平成という時代をテーマにしていますが、平成は失われた30年とも言われて今までの価値観が崩壊した時代です。そんな中で個人として何を柱として生きていくのか問われる世の中でもありました。その辺の空虚感や圧迫感も描かれていると思います。

●司馬遼太郎を読みます。近代史が好きなので、『燃えよ剣』が好きです。『人斬り以蔵』も好きです。幕末の混乱の中で独自の剣術を生み出し、盲目的な殺し屋として数奇な運命を生きた人物です。その激情と苦悩が描かれています。
◎『竜馬がゆく』もいいですよ。司馬遼太郎が見出した歴史的人物ですよね。とにかく長くて読むのが大変ですが、あの時代を感じることができます。
◎『坂の上の雲』も面白いですよ。維新後、近代国家となった日本が欧米列強に学びながら日清戦争を勝ち、ついには日露戦争でロシアを破るまでを描きます。新興国家の成長期に青春時代を送った主人公たちは、個人の栄華が国家の利益と合致する意気揚々とした時代を生きたと言えます。

●『日本のいちばん長い日』は1945年8月45日正午からの降伏を決める御前会議から、天皇が玉音放送を行う8月15日の正午までを描いたノンフクションです。天皇に戦争責任はあったのか?とか、マッカーサーに「すべて自分の責任です」と言ったように伝えられていますが、この頃の記録をテープで見ると天皇の発言って軽いかなと思ったりしました。
◎今は亡き昭和天皇。『昭和天皇物語』はコミックですが、昭和天皇の幼いころからを注目して描かれています。知らない話も多いですよ。

●『永遠に解けないパズル』は、脚本家志望の高校生がある日本屋で立ち読みをしていると呼びとめられます。これまで一度も話したこともないクラスメイトに。頼まれたのは「伝記」を書くこと。「いま、会いにゆきます」系の話です

●『レインツリーの国』は、お話も良いですが、あとがきがすごく良いです。
自分が人を傷つけているかもしれないということを毎回気をつけられる自分でありたい、というような文章でした。ハッとしてその部分を写メで撮りました。
◎あとがきは楽しめますよね。誰かあとがきにカルボナーラの作り方を永遠に書いてあったり、長い雑談を本文と関係ないのにただただ書き連ねていったり・・・。
◎それって、ページが余ったとかじゃなくて?16倍数でページが決まるって聞きますね。
◎新井素子の『おしまいの日』は、多忙な夫を心配するあまり妻はだんだん正気を失っていくというサイコホラーですが、あとがきがも面白かった記憶があります。内容は思い出せません。

●有川浩は『キケン』『阪急電車』『図書館戦争』とかたくさんありますが、『空飛ぶ広報室』これはいいです。主人公の男女が二人とも挫折から始まっていてだんだんやりがいを持っていくところ、とかいいです。原作では二人ははっきりとは結ばれないのですが、ドラマでは結婚します。離れていても、一緒に道を歩いていくというところがいいです。

●OICなので茨木住まいですが、月に1回は京都に来ています。基本的に庭が好きです。御所とか竜安寺とか。竜安寺では3時間くらいは座っていられます。
◎素敵ですね。静かさで言えば一乗寺の詩仙堂もいいですよ、お庭がきれいです。

●『あやかし夫婦』シリーズですが、これは前世に酒呑童子と茨木童子で夫婦だった二人が現世に生まれ変わっていろいろ困ることも起きて、さぁそれからは?という物語です。

●『神様の御用人』はフリーターの主人公が、ある日突然狐神から「御用人」を命じられて、神様たちの御用を聞いて回ることになるというところから始まります。日本中の神様に振り回される様子が面白いです。

●小川洋子さんの新刊『小箱』を読みました。不思議な物語で、主人公は昔、園児たちが過ごしていた園に住んでいてその感じが非日常的で、でもリアリティがあって・・・。何が不思議かというと「死」というものが遠い存在ではなくて暮らしの身近にあるように描いています。有名な『博士の愛した数式』も、80分しか記憶が持たないという博士は死んでいるような存在です。生きているけれど、死をも受け入れているように思えます。そういう世界観を描くのがうまい作家だと思います。

●本屋大賞ノンフィクション大賞の本を読んだのですが、とても暗い気持ちになりました。

6作あったのですが、「ストーカー」で「安楽死」で「貧困」で、「障害」で「スクールウォーズ(いじめ)」の話で、読むのがつらかったです。『東京貧困女子』は、入学早々奨学金という名の借金を負わされる人生や、大学の学費と生活費を稼ぐために風俗に足を踏み入れる女子学生とか、若い世代の貧困の実態に身をつまされました。『僕はイエローでホワイトでちょっとブルー』も最近話題の学校での階級闘争が描かれていて、穏やかでない中学生活にうつむき加減になりました。社会を知るきっかけでした。

●『落涙戦争』は、面白いです。様々な時に人は泣きますが、生まれて一度も泣けない大学2回生が主人公。彼の母親は「泣かせ屋」として有名な心理カウンセラーだけどこの母親でも彼を泣かせられない。そこで登場するのが裏の泣かせ屋の面々。追い込まれる主人公。彼は果たして泣けるのか・・・・。というお話です。

●スポーツの小説についてですが、いちばん思い浮かぶのが、あさのあつこさんの『バッテリー』です。中学生が主人公ですが、天才たるべき才能を持ちピッチャーとして絶対の自信を持つ巧と、そのバッテリーとなったキャッチャーの豪。豪は巧の才能に戸惑いながらも強く惹かれて最高のバッテリ-になるべくスタートするというお話です。部内でのサバイバルも描かれていて、つい応援したくなります。

●『風が強く吹いている』は最高です。走る才能をもった主人公と寄せ集めのガラクタたちが箱根駅伝にチャレンジするという物語です。自分の限界に挑戦し、襷をつなぐことで仲間と繋がり、高みへと駆け上る。
◎勝てるのは「速い」選手じゃない、「強い」選手が勝つ、とかいう言葉がありましたよね。
◎この本を読んで、箱根駅伝を予選会から見るようになりました。

●『タスキメシ』は、陸上で将来を約束されていた選手が大ケガをしてリハビリ中。そんな折料理と出会い没頭する。ライバルたちから復帰を待たれるも、心に傷を負った彼は引退してしまう。箱根駅伝の臨場感と共に料理で選手を支える主人公の将来はどうなるのか気になります。

●『一瞬の風になれ』も走る物語です。天才的スプリンターの主人公、ただただ走りたいという気持ちとその疾走感。間違いなしの青春陸上小説です。

●朝井リョウさんの『チア男子』もいいですよ。柔道やってて、挫折した主人公があるきっかけでチアをやるようになります。『桐島、部活やめるってよ』のあとの第2作です。男子のチアリーディングというのは新しいですよね。はじける青春ストーリーって感じです。

●まんがの『ちはやふる』も百人一首ですが、これもスポーツですよ。身体能力と頭脳戦で勝ち上がっていきます。この競技の奥の深さが伝わります。

●剣道はどうですか。誉田哲也の『武士道シックスティーン』も躍動感あふれる青春ものです。『ストロベリーナイト』の作者が・・?という違和感はありますが・・。

●テニスの王道は『エースをねらえ』ですよね。今につながるパワーテニスが始まった頃の連載で、このマンガでテニスのルールを覚えて今でも観戦がスムーズです。

●テニスの小説というと宮本輝の『青が散る』 があります。新設大学のテニス部創設をとおして登場人物たちの青春の光と影を描く小説です。

●突然ですが『秒速5センチメートル』は有名な新海誠によるアニメ作品です。タイトルの意味は「桜の花びらが舞い落ちる速度」で、惹かれあっている男女の時間と距離による変化を描いています。コミック版とアニメ版では視線が少しちがう描き方をしています。

●この間ボブ・ディランがノーベル文学賞を取りましたが、歌の歌詞は文学といえるのでしょうか。
◎最近のノーベル賞は社会に何か発言をしている、影響を持っている作品が評価されているようです。それでいうと時代の象徴というかボブ・ディランのその活動の姿勢が評価されたのかもしれません。「風に吹かれて」とか影響大!ですものね。伊坂幸太郎の映画『アヒルと鴨のコインロッカー』でもすごく流れていました。
◎村上春樹が取れないわけですね。都会のスタイリッシュなファンタジー小説ですものね。
◎翻訳本は読んだ方がいいですよ。『キャッチャーインザライ』とか。彼は一生取れないのがステイタスなんです。

あっという間の2時間でした。様々な読書イベントが続きます。よろしくね。

2019年10月17日(木)OICブックカフェレポート

肌寒くなってきた秋の日の夕方、OICブックカフェが開催されました。
本日の参加者は、総合心理学部2回生の方お二人、5回生の方、政策科学部1回生の方、2回生の方、経営学部2回生の方が来てくれました。

こんな本が話題になりました

●私の人生を変えた本は『神様のカルテ』です。このあいだ新章が出たのですが、主人公はいままでは地域医療の真っただ中でがんばっていたのが、大学病院へ移っていました。大学病院は最先端の医療技術を駆使するところなので、紹介状がないと受け入れないとか、システムが違うところです。でもその中で主人公は医療に対する考え方や患者に対する向き合い方を変えずにいます。変わらないところがすごいなと思います。実家は薬局で、病院の近くで営業していました。医療の場に近い所で育って『神様のカルテ』を読んだとき、地域医療の在り方を見て「これだ!!」と思って、医者を目指したいと思いました。でもなぜか、今ここ、OICにいるわけですが・・。
◎地域に興味があるのだったら、地域コミュニティのゼミに進むといいかもしれませんね。
◎そうですね。もうウチの辺は限界集落なので、興味あります。

●『人生の名著』という本を読んだのですが、この本は紹介文がすでに面白くてイイです。
それがきっかけでガズオ・イシグロの『わたしを離さないで』を読みました。衝撃的な本でした。

●伊坂幸太郎が好きです。読みやすくて面白いのは『重力ピエロ』ですね。
◎最初に「春が2階から落ちてくる」ヤツですね。こんな終わり方で良いのか、でも素敵と思いました。
◎そうです、そうです。それと『しゃばけ』シリーズも好きです。妖怪と人間の合いの子の若旦那がいろいろな事件に巻き込まれるお話です。不思議さマックスです。

●大好きな本は『レインツリーの国』です。図書館戦争の第2巻『図書館内乱』に出てくる本の内容が小説となっています。恋愛ものですが、困難を乗り越えて結ばれていく様子がたまらなくいいです。

●先ほど話題に出た伊坂幸太郎ですが、『ゴールデンスランバー』がいいです。夏休みに宮城に行って、聖地巡礼ではないですが、いろいろ回ってきました。国家権力から身に覚えのない罪で追いかけられる主人公のお話です。

◎僕は『アイネクライネナハトムジーク』が好きです。情けなくてどうしようもない人たちに起こるサブライズが描かれます。人間っていいなと思えます。
◎私は殺し屋たちや巻きこまれる人たちが代わる代わる語り手になって出てくる『グラスホッパー』が大好きです。名作だと思います。
◎僕は『ガソリン生活』をお薦めします。物語の語り手が車という面白さがあります。ある女性が事故でなくなって、その謎に一家が振り回されるというお話です。

●僕は何といっても西尾維新です。デビュー作の『クビキリサイクル』を始め、すべて読んでいます。西尾のアニメを担当しているのは、シャフトという会社なのですが、ここは奇抜なアニメ表現が得意で、原作とクラッシュすることも多くて問題もありなのですが、その破壊的な特徴が西尾の世界観と相まって、いい感じにアニメが仕上がっているのが不思議です。なぜか噛み合っているんですよね。

●コミックですが『終末のワルキューレ』は人類を滅ぼそうとする神々と、それを覆そうとする人類の闘いを描いたバトル作品です。闘う人類を「戦乙女(ワルキューレ)」が支え、神々の人類滅亡をつぶそうと第13番勝負挑みます。わくわくします。

●『悪の華』は絶望をテーマに思春期特有の精神的彷徨と自我の行方を書いた青春小説です。
タイトルはボードレールの同名詩集によるものです。密かに思いを寄せている女生徒の体育着を盗んでしまった主人公の恋心と背徳の自己矛盾を描いています。

●はやみねかおるの『都会(まち)のトム&ソーヤ』は、御曹司と貧しい息子が出てきます。
これはゲームを作る物語だと思うのですが、他の話がたくさん入って来てなかなか終わりにたどり着きません。中学生必見の本です。

●『怒り』はスゴイです。ある街で若い夫婦が惨殺され犯人は逃げます。1年後、房総・東京・沖縄に身元のわからない男が現れて、周りに訝しがられながらも次第に受け入れられていきます。3つの土地に犯人らしい男がそれぞれいることになります。深い目線で俯瞰して物語は描かれています。最後に一人犯人が捕まりますが、果たして他の2人は?というどんでん返しが待っています。
◎『横道世之助』とかとはテイストが違いますね。これはバブル期に上京した主人公がいろいろ人と会って成長する青春小説です。1年間の横道の上京生活を追うところと16年後に関わった人々が横道の思い出を語る2部構成の作品です。

●『式の前日』はオムニバス形式の短編集。日常の中でちょっとほっこりとこぼれる感情をうまくすくい取って書いています。さまざまな2人組が出てきます。

●中学の頃『ダレンシャン』をよく読みました。友人を助けるためにバンパイアと取引をすることになった主人公をめぐるファンタジー小説です。

●昔、携帯小説って流行りませんでしたか?『恋空』とか読んだ記憶があって、試練、別れと再生などが描かれています。書籍化、映画化、ドラマ化と次々話題になりました。

●朝井リョウさんの本で心に残っているのは、『何者』です。主人公に共感して読んでいたら最後にボコボコにされてショックを受けました。
◎こわい作品ですよね。でも1度は読んでおいた方がいいです。
◎続編の『何様』がようやく文庫になったので読もうと思っています。

●江戸川乱歩のおどろおどろが好きです。『D坂の殺人事件』はD坂で起きた密室殺人事件を探偵の明智小五郎が解いていく物語で、文中で心理学と犯罪について語られており、これが続編『心理試験』につながっています。
◎『人間椅子』は名作です。ああこんな話か・・・と分かった気になっていたら、2度ほどドンデン返しがあってヤラレます。そしてスゴいのは、導き出された最後の収まりが本当に真実なのか、まだ他にあるのでは?と思わせるところです。

●石田衣良の『4TEEN』は下町・月島を舞台にしながら、14歳の4人の少年が恋をしたり傷つきながら大人になっていく青春ストーリーです。おもしろいです。

●昔は、山田悠介の『リアル鬼ごっこ』とかよく読んでいました。この作者は語彙力がないけれどストーリーテラーなので、原作者に転向したらいいのにと思っていました。

●同じような小説で『王様ゲーム』というのがありました。高校1年のクラスメイト全員に王様からメールが来て、最初は簡単な要求だったのに命令が次第にエスカレートして、一人、二人とクラスメイトが死に、ついに命がけのゲームを行われるというサバイバル小説です。とにかく怖いです。

●東川篤哉が好きです。『謎解きはディナーのあとで』のお嬢様とニヒルな執事の掛け合いとか、『放課後はミステリーとともに』の楽しい謎解きとか、笑える刑事ものとかユーモアミステリーの名手です。

●あいかわらす湊かなえが好きです。『Nのために』は5章にわたってそれぞれの登場人物が自分の目線で語り、その10年後が語られます。きっかけはあるマンションで起きた夫婦殺人事件です。すぐ犯人は自首して捕まったのですが、果たして真実は・・・?と謎が深まる推理小説です。これは殺人が起きるからいいのですが、最近の湊かなえは人が死なないパターンもあって、満足できません。

●人を合法的に殺すといったら『バトルロワイアル』という小説があります。中学3年生の1クラスが孤島に連れて来られて、最後の一人になるまで殺し合いを強要されるという物語です。残酷なお話ですがキャラが立っていて、読み進めると、ハートウォーミングな感じもするという変わった物語です。藤原達也くんで映画化もされました。人殺しのシーンに「G線上のアリア」が流れるとかクラシックが効果的でした。
それから『星に願いを、そして手を』は中学3年生の夏休み、幼馴染4人で街の科学館でプラネタリウム横の図書館で勉強会を行っていたのですが、宇宙への夢を語り過ごしながら彼らは大人になり、それぞれの道を歩むものの、夢を挫折する者もいて、やがて科学館の館長が亡くなって再び4人が集まることになるという物語です。

●『失われた夜の歴史』は産業革命以前の夜が闇だったころを描いた本です。コンビニもない時代、人間はどのように夜を生きていたか。夜に恋人同士がでかけて一緒に過ごすなど行動範囲は広かったようで、夜の魅惑と恐怖を書きつくしています。

●『サピエンス全史』を読みたいなと思っています。サバンナの負け犬だった我々サピエンスが今の繁栄を築いたのはも妄想力のおかげとか、農業は史上最大の詐欺とか、とても面白そうです。

●今、大学院で「風刺マンガの大衆化」をテーマに研究しています。みなさんの知っている『ビゴー素描集』などのもっと前の時代です。

●『生者と死者』はめちゃおもしろいです。読んだあとに袋とじを開いて読むと、物語の内容が変わります。短編が長編になったり、男性が女性になっていたり、こうだと思っていたことがひっくり返されます。しかけ本の醍醐味を味わえます。

●あいうえおが消えてく。それで残された文字で小説が書かれていきます。『残像に口紅を』は筒井康隆のチャレンジ小説です。

●『ジョジョの奇妙な冒険』が好きです。それぞれ部ごとにテーマが違っていて、第1部は熱血もので、第2部は生物との闘い、第3部は精神エネルギーを具現化したスタンドと戦う物語、第4部は日常に潜む恐怖との闘い、第5部はイタリアが舞台で憧れのギャングスターに登りつめて行くお話、第6部はまだ読めていません。時代はそれぞれ違いますがジョジョらしい佇まいは一緒です。ぜひ読んでみてください。

あっという間の2時間でした。次回のブックカフェもお楽しみに。

10月29日(火)衣笠ブックカフェレポート

明るい秋の日の夕方、衣笠ブックカフェが開催されました。
本日の参加者は、文学部1回生の方お二人、2回生の方、4回生の方お二人、6回生の方、産業社会学部1回生の方お二人、4回生の方、そしてゲストとして「国会パブリックビューイング」の事務局の方が参加してくださいました。

こんな本が話題になりました

●桐野夏生さんの『OUT』は、深夜コンビニのお弁当を作っている主婦たちが人を殺してバラバラにするお話です。怖いですね。『グロテスク』という本は東電OL殺人事件をモデルにした物語ですが、自分自身が男に囲まれて育ったので女の嫉妬心とか全然わからなくて、この本を読んで初めてよくわかったなと思いました。

●東野圭吾が好きなのですが、『プラチナデ-タ』はDNA情報によって犯罪に巻き込まれた警視庁の天才科学者とそれを追う刑事を描いた作品です。
◎『容疑者Xの献身』は、ガリレオシリーズの作品で難しいけれど分かり易い。そして先の見えないところがいいです。

●夢野久作を読みます。夢野といえば『ドグラ・マグラ』が有名ですが、他にもおもしろい作品はあります。内容としては自分探しのところがあります。

●横溝正史が好きです。一番有名なのは『犬神家の一族』ですが、これは市川版の映画がとてもいいです。内容がグッときますし、画面の作り方がいいです。

●森博嗣が好きです。『すべてがFになる』は王道のミステリーです。真賀田四季という人物が出てきますが、神という概念を持っていて、150年にも渡ってコールドスリープで生き続けます。

●『四季』シリーズは圧倒的天才の真賀田四季の真実に迫る4部作です。あわせて読みましょう。

●チャンドラーの『長いお別れ』ですが、クールで乾いた文体はさすがハードボイルドだなと思わせます。そしてほとんど探偵の一人称による一人語りで物語は進みます。ハードボイルドの定番のパターンですね。

●宮本常一の『忘れられた日本人』を読みました。日本全国をくまなく歩き、各地に残る民間伝承を克明に調査して、文化を伝承してきた人たちの有り様を描きました。ハンセン病の実態なども書かれています。東の地形など知らないところがあっても読める作品です。

●ミトコンドリアといえば『パラサイト・イヴ』です。人体のDNAの一つであるミトコンドリアが知性を持ち人間を支配していく様子が描かれています。

●量子コンピュータにとても興味があります。量子学的な重ねあわせを用いて、存在するコンピュータでいままでのPCよりかなり計算速度が速いと言われています。

●谷崎潤一郎の『痴人の愛』は女に奉仕する男が描かれていますが、女王様気質の女といじめられたい男が出てきます。谷崎も日常がそういう面があったようでおもしろいですね。
◎さっき市川昆の映画がいいと出ましたが、『細雪』も1983年版の市川昆の作品がとてもよいです。なにしろ画面がきれいです。

●大江健三郎の『性的人間』に入っている「セブンティーン」は、ブラックバイトの様子が描かれています。働いているのに給料もらえないなどです。

●森身登美彦は『四畳半神話大系』から読み始めました。きっかけは受験の時に見たアニメからです。大学生の妄想話ですが、おもわず惹きこまれてしまいます。

●西尾維新の戯言シリーズは、主人公がまわりで起こる殺人事件を解決していきますが、シリーズが進むごとにミステリー要素がなくなっていきます。立命館の学生だったのが伝わるのが立命館大学をもじった「鹿鳴館大学」という大学が出てくるあたりです。

●大学もので言ったら万城目学の『鴨川ホルモー』が弾けていて面白いです。陰陽道を取り入れた設定で、京産大、京大、立命大、龍大の4校がホルモーという謎の競技で戦うという青春ものです。

●桜庭一樹の『道徳という名の少年』はエロスと魔法と音楽にあふれたファンタジー連作集です。甘い滅びの様子が描かれています。

●桜庭で言うと『GOSICK』は好きです。小さな事件を解決する美少女と東洋の少年が主人公のミステリーものです。大きな禍にとりかこまれており、彼らが自分らしく生きていく姿を応援したくなります。

●筒井康隆の『最後の喫煙者』は、最後の喫煙者となった小説家が自分の視点で喫煙が排除されて、魔女狩りのようにヒステリックで過激な追い込みをかけられてきた様子を振り返るSF短編集です。作家の嫌煙・禁煙運動への批判的立場が伺えます。

●SFと言えば、SFと気が付かない感じの物語なのですが北村薫の『スキップ』は読み応えあります。17歳の高校生が学校から帰って家で午睡の夢を見た後、起きてみれば25年がたっていて、自分は42歳子持ちになっていたというお話です。意識だけ飛んでいるとか元の17歳に戻れるとかいう救いは、まったくなし。主人公は戸惑いの中、新しい人生にチャレンジします。大学に行って、恋をして、就職をして、結婚をして、子どもを授かるという人生の過程のすべてが失われた悲劇の末、主人公はどう生きていくのか。

●『国際都市ジュネーヴの歴史』は古くから国際機関が所在する世界都市の歴史を学び、幕末から現代までのジュネーヴと日本の交流も取り上げられています。日本初のジュネーヴ研究書ということです。

●花村萬月の『渋谷ルシファー』は、バー「ロシファー」で語られる男女の恋。迷路と挫折、不器用な愛と別れ、青春の日々をブルースに載せて描いた若者小説です。学生たちにあまり読まれる作家じゃないので、よかったら手に取ってみてください。

●直木賞&本屋大賞を取った恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』が面白いです。4人の主となるピアニストに焦点をあてて、国際コンクールの様子を描いています。できれば一緒に読んでいながらにして音楽が流れたらいいのにと思います。
◎恩田陸と言えばデビュー作の『6番目の小夜子』は面白かったですね。ホラーミステリーというのでしょうか。学校を舞台にしたある伝説を中心に物語が進みます。

●ステーヴン・キングは、最近は『IT』の映画化とかで注目をあびていますが、お薦めしたいのは『ダーク・タワー』です。何もかも変転していき、荒廃する土地を主人公たちが旅をして「暗黒の塔」を探索するという物語です。ファンタジーですね。

あっという間の2時間でした。この日は初めて参加する方が2名でした。この企画は誰でも参加できます。よろしくね。

2019年10月31日(木)BKCブックカフェレポート

少し寒さを感じる夕方、BKCブックカフェが開催されました。今回の参加者は、理工学部3回生の方、5回生の方、理工学部M1の方、経済学部1回生の方、5回生の方、6回生の方、情報理工学部2回生の方、M2の方が参加してくれました。

こんな本が話題になりました

●『日蝕』は福岡生まれの著者が23歳で書いた本で、芥川賞を取った作品です。読みにくい表現や難読漢字を多用していて、読みこなすのに難しい本です。芥川賞の選考委員は誰も「こんな本自分には書けない」と思って票を入れたのかな。中世ヨーロッパが舞台で、宣教師が出てくるのですが、宗派がたくさん分かれていて教会同士対立しています。本当のイエスの教えとは何かを問うています。これを読むのに歴史の知識が必要だと思いました。

●マルキ・ド・サドを読んだりしています。フランス革命時代の小説家で、マルキというのはフランス語で侯爵の意味だそうです。自由を求め肉体的快楽を求めた彼ですが、存命中はその作品が評価されることはなかったようです。

●『専門知はもういらないのか』。通常私たちは何かあるとすぐネットで調べます。これほど多くの人が知識へのアクセスを持ちながら、これまで積み重ねてきた専門知を尊重しない時代ともいえます。経済の松尾先生が、自殺率と失業率の相関関係を取っているがその発信をどこまで信用するのか、素人が台頭して素人と専門家とどっちなのかという論議になっています。

●コミックですが『見える子ちゃん』は怖いです。主人公はとてもかわいい女の子ですが、怖いオバケが見えるタイプの子で、その描写がものすごく怖いです。はっちゃけているマンガです。

●映画の「ジョーカー」を見ました。よくよく描写されていますが、好き嫌いが分かれる作品だと思います。

●ヘミングウェイの『老人と海』を読みました。一人ででた海で巨大なカジキと死闘する話です。でも本文にはカジキとは出ていません。一人と海のコントラストがいいです。
◎ヘミングウェイの『移動祝祭日』は文豪の若き日の回想です。1920年代のパリ、創作の日々、友人たちとの交流。死後に発行された事実上の遺作です。
◎短編はいいですよね。『キリマンジャロの雪』は、遭難して山で死んでいく老作家をたんたんと描いています。現地でキリマンジャロは神の山と言われているそうです。さまざまな回想ので中眠りについた主人公は、救援の飛行機に乗って神の山へ向かいます。

●小野不由美の『十二国記』は、今新たなシリーズが出て注目されています。『十二国記』は世界観づくりがすごいです。古代中国風なつくりで十二国あるのですが、その一つ一つに王様がいます。そして麒麟が重要なファクターで、王様を選ぶことができます。圧政で人民が困ったことになると麒麟は弱っていって、一心同体である王様も死にます。主人公の少女は男に異世界に連れていかれます。そこではさんざん騙されたり、女郎屋に売られそうになったり、妖魔が襲ってきたり、苦労ばかりです。上巻は読んでいてもつらくて仕方がありません。下巻になるとそこから報われる具合がカタルシスとなります。なので頑張って読んでいってほしいですね。
◎この0巻に当たる『魔性の子』は、『十二国記』を読んでいないとただのホラーで、読んでいると「なるほど!」と思えて2度おいしいです。

●『ノルウェイの森』で初の春樹体験をしました。
◎もっと春樹らしい本で体験はどうですか。『世界の終わりとハードボイルトワンダーランド』はいいですよ。「世界の終わり」と「ハードボイルドワンダーランド」という2つの世を行ったり来たりします。謎は提示されますが、すべてが明かされるわけではありません。

最初に出てくるゆったりとしたエレベーターの謎は気になるのですが最後まで解き明かされません。

●村田紗耶香の本を読みました。不思議な世界観で圧倒されます。有名な『コンビニ人間』は決まり事(マニュアル)のある生活に依拠して生きている人間を書いていますし、『殺人出産』は、人口が少なくなっていく世界で10人子どもを産めば1人の殺人を許されるという変わった世界を描いています

●斎藤環さんは「ひきこもり」についてよく本を書かれていますが、『承認をめぐる病』は人に認められたい、認められないと自分を愛せない、そこからさまざま病理を露呈させてしまう構造を描いています。

●『独ソ戦』は第二次世界大戦中に、ドイツ(枢軸国側)とソ連の間で行われた全滅戦争を描いています。全滅戦とは相手の軍隊を全滅させることで政治を達成する様子をまとめて本にしています。

●フォークナーの『八月の光』は、人種偏見に情熱を燃やす南部社会に反逆して殺人と凌辱の果てに逮捕され、惨殺された黒人混血児の悲劇を描いています。

●スタインベックの『怒りの葡萄』は、世界恐慌の時代、開墾によって発生した砂嵐によって耕作不可能となって流民となる農民が続出して社会問題となっていたことを取り上げ、オクラホマを追われた一族の逆境と不屈の魂を描く作品です。

●『ヘルシング』はバトルをするダークファンタジー小説です。舞台は20世紀末のイギリスで吸血鬼と吸血鬼ハンターの戦いを描いています。イギリスはプロテスタントなので、バチカンとバチバチやっていたりしています。頭の悪い小説で、ナチの復活を求めてミレニアム千年王国をつくるとかやっています。絵がとても濃いですが(ベタばかり使用)、刺さる人には刺さるコミックです。

●『ブラックラグーン』は、タイの架空の犯罪都市を舞台に、裏社会に属する人が繰り広げるアクション漫画です。暴力活劇の描写が満載です。日本人の商社マンが巻き込まれ、誘拐されるが身代金を交渉するあてもない、というところから物語は始まります。セリフがクサイのですが、中二病の読者にはそそられます。またギャグとシリアスのパートが交互に現れるところがいいです。

●『少女革命ウテナ』は自分も王子様になりたいと願う少女ウテナが、入学した学校で「永遠に世界を革命する力」を与えるという「薔薇の花嫁」の争奪戦に巻き込まれて「世界の果て」に近づいていく物語です。

●最初はよかったけれど最後はまとまりきらないという作品は多いですが、浦沢直樹の『20世紀少年』もそうですよね。経済は停滞し、世界滅亡の空気まで漂い始めた1970年前後、滅亡に向かっていく未来の地球を描く少年たち。その中でヒーローとその仲間たちの存在が記憶として「よげんの書」として少年たちに残される。そして世界各地に「よげんの書」通りの異変が現れるという物語です。

●『モンスター』は出来がいいと思います。ドイツとチェコを舞台にしたサスペンスコミックです。猟奇殺人、冤罪、医療倫理、権力闘争、家族の在り方、あらゆるテーマが一人の生き残ったモンスター少年によって浮彫りにされます。怖いです。

●『最終兵器彼女』は心寄せて愛を深めていく少年と少女。ある時謎の敵に彼は襲撃されます。しかし彼が見たのは、体中を武器と化して戦う彼女の姿だった。果たして二人はどうなっていくのかという物語です。

●三島由紀夫の『仮面の告白』を読みました。人と違う性的傾向に悩み、生い立ちからの自分を客観的に生体解剖していくという「私」の告白の物語。三島の第2作目の長編小説です。
◎三島だったら『美しい星』もおもしろいですよ。ある一家は、自分達は金星人や木星人であると自覚し、世界の滅亡の危機、核兵器からの危機から地球を救うために暗躍するというストーリーです。核兵器などによる終末観を背景に、宇宙的視点で描いたSF的作品です。

●『半落ち』はとても感動的な小説ですが、直木賞の選考では「致命的欠陥がある」とされて受賞にはいたりませんでした。これはアルツハイマーの妻を殺してしまった警察官が、後を追って死のうとしたのに、生き残る選択をした。なぜか。それは急性白血病で命を失った息子がある少年へ骨髄提供をして助けていた。彼はもしまた命を脅かされることになった時に助けようと自殺を思いとどまったという物語ですが、これに直木賞の選考委員たちは「受刑者は骨髄を提供できない」、つまり欠陥があるとしてこの小説の価値を否定しました。作者はわかっていたけれど、主人公の心情を大切に描いたとしています。またその後事実誤認がなかったと判明しても選考委員は態度を変えず、作者は直木賞と決別宣言をしました。私はこの作品は傑作だと思っています。

●『美しい顔』は未曾有の災害を経験した主人公の喪失の悲しみと絶望の底からの帰還を描いています。

●村上龍の『トパーズ』は風俗嬢を描いた小説です。高層ホテルを行き交い、サディズムとマゾヒズムの接点を描き、それが東京とまじりあっていく。そんな瞬間を切り取っています。

◎龍は『愛と幻想のファシズム』がポピュリズムを体現した小説だということで注目です。馬鹿が平等を享受する日本をダメだとし、登場人物は日本を変えてみないかと問うのです。
◎『ポピュリズムとは何か』はポピュリズムをわかりやすく書いた本です。少数のエリートから民衆を開放する手立てともなっています。

●『愛国の構造』は愛国心というのはキケロ的な、共通の禅のようなものだと言っています。

●『読書と社会科学』は、読書という存在は、今はどのようになっているのか、古典を例に出していろいろ語っています。これを読んで興味ある作品を見つけられたらいいなと思います。

あっという間の2時間でした。誰でも参加できます。よろしくね。