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2019.11.14

2019年10月17日(木)OICビブリオバトルレポート

ニュース

少し雨模様の夕方、OICブックカフェが開催されました。参加者は14名、そのうち4名の方がバトラーとして本の紹介をしてくれました。

一番目に登場してくれたのは、政策科学部1回生の井口皓介さん。麻生幾さんの『前へ!』を紹介してくれました。

この本は東日本大震災のノンフィクションで、その復旧に力を尽くした人たちを描いているそうです。「冷静な視点で、緻密に仕事をすすめていく様子がことこまかく描写されています。自衛隊の人や消防の人などいろいろな人が携わっているのですが、その中で道路工事を担当している建設業者の方が印象的でした。自分も被災しているのに、早く道路を治していくという意思というか覚悟を感じました。不眠不休で働く様子が描かれていて、意見の合わない人とかたくさんいる中で、つらいことを助け合うためには、みんなからはきれいごとだと思われるかも知れないけれど、こんな時にはきれいごとこそ目の前の壁を乗り越えるには必要だと感じました。夏休みに宮城に旅行したのですが、自分にできることは何かと考えました。」

2番目に登場してくれたのは、経営学部2回生の宇留野智哉さん。橋本紡さんの『流れ星が消えないうちに』について語ってくれました。

この本は章ごとに主人公が違って、その目線の違いが魅力的です。亡くなった彼氏を悼む彼女と付き合う男子。どうなんやこの関係・・と思いますが、読むと、二人にとっていなくなった彼は特別な存在で、その大切なつながりが恋愛になっているとわかります。この作者は、描写の丁寧さが魅力です。流れ星を写す機械が出てくるのですが、文章の表現がとてもきれいで、その綺麗な景色を心に浮かべることができます。人の心の心情も細かく描写されてよく伝わります。内容はほんとうに重いのですが、後半は二人を応援したくなってきます。二人で乗り越えていく様がいいです。

3番目に登場してくれたのは、政策科学部2回生の岩永悠汰さんです。西尾維新さんのデビュー作『クビキリサイクル』をお薦めしてくれました。

この本は推理小説なのですが、青髪の女の子と男の子が出てきます。ある島で殺人事件が起きて、解決のために犯人を追いかけるというストーリーですが、推理としてはとてもシンプルです。いちばん注目すべきは言葉遊びです。ある言葉に対比する言葉の羅列や、リズム感のよい文体にははまります。すごく読者を楽しませてくれます。またキャラ立ちしているというか、出てくる人々はみんなぶっとんでいるのですが、どのキャラも印象的です。グロイ内容なのですが、表紙絵がとてもかわいい、キレイで、その女子と内容のギャップにもやられます。9冊あるシリ-ズなので、サイドストーリーも合わせて楽しめます。ちなみに僕は第2巻がお気に入りです。

最後に登場してくれたのは、総合心理学部2回生成広汐里さんです。有川浩さんの『キケン』を紹介してくれました。

有川浩といえば恋愛小説というイメージですが、これは、恋愛要素ほとんどなしです。理系大学の男子学生のお話なので、BKCをイメージしてください。2回生の男子を軸に、いいように使われる1回生の面々の物語です。いちばん好きなお話は、学園祭で「ここに30万円ある。3倍にしろ」と90万円を稼ぐことを要求された面々がどのように達成していくのか、面白いです。中学生の時に読んだのですが、私の大学生の青春のお手本となっていました。理想の青春ですね。砂場を爆破するとか、途轍もないところも良いです。恋愛もどきもあって、それがとてもかわいい恋愛です。女の子慣れをしていない男子の様子がありありです。大爆笑できます。キャラとしては2回生上野さん、突拍子もない性格ですが、めちゃめちゃ純粋です。興味あることにひたすら突っ走っていきます。その行動力、その走っていく力に感動します。

すべての発表が終わり、投票に移りました。今回チャンプ本に選ばれたのは、井口さんの『前へ!』でした。井口さんは地区決戦に進みます。がんばってくださいね。