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2019.11.14

2019年11月5日(木)衣笠ビブリオバトルレポート

ニュース

明るい秋の日の夕方、衣笠ビブリオバトルが開催されました。参加者は11名、そのうち4名の方がバトラーとして本の紹介をしてくれました。

最初に登場してくれたのは、産業社会学部1回生の剱持健太郎さん。寺嶋裕二さんの『ダイヤのエース』を紹介してくれました。

野球マンガです。才能ある主人公なのですが、中学時代に一度も勝てない状況でまわりを助けるエースの姿に感動しました。主人公は評価されて名門の高校へ行くのですが、初日に遅刻して監督に目をつけられるなどして、でも監督とコンタクトをとれるようになります。ずっと控えの投手でやっている姿、ようやくエースナンバーをつけられるようになった時、プレッシャーを感じて本来の動きが出来なくなったり、いろいろあります。雑草魂というか主人公のたゆまない向上心が心に刺さりました。

2番目に登場してくれたのは、文学部4回生の中村倫大さん。ウィリアム・ゴールデンの『蠅の王』について話してくれました。

ある無人島に子どもたちが流されて閉鎖空間で生きていく物語です。リーダータイプやヤンキーやいろいろなタイプの子どもたちがいて、そうするとまったく仲良くなんてなれません。殺し合いをしてしまいます。グロい物語ですが、村上春樹の取れなかった「ノーベル賞」を取った作品です。現実の荒れた公立中学のようなイメージですが、購入のきっかけは「本棚においておしゃれな装丁」です。ジャケ買いですね。
スティーブン・キングかと思うようなホラーなのですが、スティーブン・キングもこの本を読んで小説家になろうと思ったようです。コミックの『神様の言うとおり』や米澤穂信の『インシテミル』も影響されていると思います。蠅の王というのは物語に出てくる怪物の名前です。幻想なのですが、本当にいると思って子供たちが狂っていきます。最後はやるせない終り方ですが、読んでみれば面白いという本です。

3番目に語ってくれたのは、経済学部3回生の角谷由さん。永井孝尚さんの『売ってはいけない』を取り上げてくれました。

大量に物をつくって、大量に売るという時代は去りました。これからはただ売るだけではだめで、お客様のニーズをしっかりとつかんで売っていくことが大切です。六本木にある「文喫」という本屋があるのですが、そこは入場料1500円を払って中に入る本屋です。いったん入ったら好きな場所でゆっくり過ごせるし、コーヒーも飲み放題です。じっくり読んで本を選ぶことができます。落ち着いた空間で普通では出会わない本にも出会えます。そういう独自のマーケティングが重要です。

最後に登場してくれたのは、産業社会学部2回生の村上和希さん。新海誠さんの『天気の子』について話してくれました。

主人公は男の子と女の子で、女の子が天気を晴れにできる能力を持っています。日本が沈むと言う時に女の子を犠牲にすれば日本は救われる。そこでの男の子は葛藤します。そして女の子を救おうとします。好きなシーンは女の子が年上だと思っていた男の子が、警察に捕まったところで「おまえより年下だよ」と言われて守りきれなかったせつなさを噛みしめるところです。

バトラーのみなさん、ありがとうございました。投票の結果、文学部4回生中、中倫大さんの『蠅の王』がチャンプ本になりました。地区決戦がんばってくださいね。