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2019.11.14

2019年11月8日(金)BKCビブリオバトルレポート

ニュース

陽射しの落ち着いた日の夕方、BKCビブリオバトルが開催されました。
9名の参加者のうち4名がバトラーとして本の魅力を語ってくれました。

司会は、生命科学部3回生の溝口颯乃さん、溝口さんの開会宣言でビブリオバトルが始まりました。
最初に語ってくれたのは、薬学部2回生の野田歩美さん。『名探偵コナン』について楽しさを伝えてくれました。

コナンと「黒の組織」の関係性が注目です。コナンは幼馴染と一緒にいった遊園地であやしい男たちを追いかけて、薬を飲まされて小さくなってしまいます。「黒の組織」の悪人たちの名前がジンとかウォッカとかお酒の名前なのも面白いです。
いちばん好きなシーンは、単行本の72巻です。コナンがスーツケースに入ってイギリスへ行くのですが、そこで、お酒の力で元の新一に戻ったコナンが幼馴染の蘭に自分の思いを伝えるところが大好きです。修学旅行の清水寺に行くところもいいです。
毎年映画も作られていますが、映画のクオリティの高さはすごいです。毎回メインのキャラがキッドとか平次とか違っていてイイです。私は2003年の「迷宮の十字路(クロスロード)」は平次がメインで気に入っています。今後は「黒の組織」の謎がわかってきたのでどうなるか楽しみです。「名探偵コナン」は密室殺人が多いのですが、作者の青山先生は毎回自分の家で密室を試しているみたいです。好きなキャラは灰原哀です。最初は性格冷たい感じで登場したのですが、人と触れ合っていくうちにやわらかい性格に変わっていきます。そこが魅力です。

次に登場してくれたのは、理工学部M2の宮城恵さん。アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』について話してくれました。

この作品はポワロなどのクリスティ作品で有名な名探偵がでてきません。特徴として一つ目は、クローズド・サークルという他とは閉鎖された空間が舞台です。次に見立て殺人というのを世間に広めた最初の作品です。
10人の招待客がある島へ招待されます。招待者はU・N・オーエンといってこれも実は意味があります。最初の晩餐の後に蓄音機が突然鳴り、10人の招待客の過去が暴かれます。軍人は自分の妻の愛人を戦線に送って死なすとか、ある家庭教師は教え子を海でおぼれさせてその財産をもらう、などです。その屋敷には10人の兵隊がおいてあり、その歌の通りに殺人は進みます。ハチにさされて死ぬとあればみんながハチに気を付けて過ごすのですが、ちゃんとハチに刺されて死んでいきます。このようにタイトル通りに誰もがいなくなってしまいます。どういうトリックなのが気になります。映像化もされていますが、読むのがお薦めです。ミステリーに慣れていない方でも比較的簡単に読めます。

3番目の登場してくれたのは、経済学部5回生の小林寛史さんです。ラーゲルクヴィストの『バラバ』を紹介してくれました。

これは宗教文学です。バラバというのはマルコの福音書などにも載っているイエス・キリストと同じ時代に生きたユダヤ人です。この本は何を伝えようとしているのか。近代における宗教観のなさを描いているのか。バラバは宗教にすがろうともしないし、信じられないという気持ちを持っています。ローマの放火事件の時に、自分もローマ中に火をつけて回ります。そして捕まります。牢屋にいる多くの人々は冤罪だけれど、それでも復讐しない姿を民衆に見せることでキリスト教のあり様を見せようとしますが、バラバはそうではありません。磔にされ、ほほえみながら死んでいきます。彼はなぜ救われているのか、この本は自分なりの宗教心を見つけることができます。

最後に登場してくれたのは、経済学部3回生の角谷由さん。三秋縫さんの『三日間の降伏』について語ってくれました。

三秋さんはヒカキンや米津玄師と同じネット初の有名人です。
この本は大学生が主人公なのですが、お金がありません。家にあるテレビやいろいろなものを売り、果ては大切なCDや本まで売ろうとします。出向いた古本屋で「寿命を売ってみないか」と言われます。ここでは寿命か時間か健康を得ることが出来ます。小学生から賢くて自信過剰の彼は、30年分の寿命を30万円で売ります。残りの人生3か月となった彼は、やりたいことをやろうとしますが、何もありません。通例として寿命があと1年になった人は自暴自棄になり人殺しをしたりするので、管理官がつきます。彼の元に来た管理官は母の借金のために時間を得ることにした女性で、彼以外の人には見えません。彼はこの女性を幸せにしようと思います。残りの3日間を二人でいかに過ごすのかという物語です。最後に彼は死にます。普通でない恋愛ですが、魅力ある終り方となっており、人生哲学を学べます。

4名のプレゼンのあと、投票が終り、経済学部3回生の角谷さんの『三日間の幸福』がチャンプ本となりました。おめでとうございます。