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2020.01.15

国会パブリックビューイングを開催しました

ニュース

「国会パブリックビューイング」は国会の様子を画面に映して実際に行われている議論を見ていく取り組みです。
2019年11月13日をかわぎりに、ふらっとを会場にして3回開催しました。
どんな意見や議論が交されたのかレポートします。
なかなか時間が合わないかも?しれませんが、日本のことを議論する「国会」、ぜひ関心を持って欲しいです!

2019年11月13日開催レポート
2019年11月20日開催レポート
2019年11月29日開催レポート

2019年11月13日(水)国会パブリックビューイング第1回レポート

陽射しが少し陰った日の夕方、国会パブリックビューイング=憲法9条と21条を考える=トークイベントが開催されました。MCを映像学部 飯田和敏先生、解説を法学部 植松健一先生が担当され、21名の参加者が真剣に聞き入っていました。
資料として国会パブリックビューイングのリーフレット2部、「明るい憲法明るい生活」という戦後に新憲法の普及のために一家に一部配布されたという冊子、そして民主主義のタネをまくという合い言葉で、「柿の種」が配られました。イベントはところどころ映像を見ながら進められました。

MC:最近は国会もざわざわしていまして、特に「桜を見る会」については5月に一度質問された時は、政府もかわして、あろうことが予算を倍額計上までしました。その後野党は、丹念にツイッターやフェイスブックを駆使して、首相の後援会の方々などが招待されている事実をつかみ、追い込んでいきました。この件は、メディアは2日間取り上げませんでしたが、後追いでテレビでも取り上げられています。

昨日の二条駅での国会パブリックビューイングは盛況でかつてない50名という参加者でした。10月から消費税10%が導入されたわけですが、国会を見ていましたら、法改正した後の、軽減税率や還元セールでの混乱は予測できたことでした。
私はゲームクリエイターなので、ビデオゲームを新しくつくっていくわけです。そこで思ったのは、ゲームと言うのは「ルールメイキングの芸術」だなということです。世の中のルールがどのようにつくられていくのか興味を持ちました。そんなわけで国会を見始めました。まず植松先生に「憲法とは何か」をまとめていただきましょう。

解説:国会は法のメイキングをするところですが、法律を無効にすることもできる最高法規です。そもそも憲法というのは国家統制の最高の仕組みと言えます。
MC:学生時代に力を持っている憲法は「暴力装置」だ、と聞かされたことがありました。
解説:暴走する政府にストップをかけるのが憲法ですね。暴力を「実力」と言い換えていますが、例えば警察は警察の法律があって、それに基づいて仕事をしていますが、その実力行使をさせるのも憲法なのです。

MC:国会の始まりには首相の所信表明があるわけですが、今、国会で目指すのは何々・・・と言うわけです。最近はその最後に「憲法改正をしたい」と言うようになっています。自衛隊員のお子様が、憲法に表記されていないことによって、苛められている。だから改正が必要などという情緒的な説明があります。日本国憲法とは何か?ですが、その原本は、国会図書館?
解説:国立公文書館ですね。
MC:情緒的に国民を扇動する。この間の天皇のパレードも安倍首相の天皇を使った自分のロイヤル観のアピールだと言えます。お配りしている戦後の新憲法の冊子ですが、昭和21年の紙もインクもない時代につくられて各家庭に配られました。当時読む人がきっと輝かしい気持ちだったと思います。
解説:ドイツでは必要に応じて改正ということになっていますが、日本とは様子が違います。
戦後63回も改正したとありますが、ドイツはあらゆる細かいことまで憲法に記載されているために、細かいことを時代に応じて改正する必要に迫られます。憲法を改正しないと回らないわけです。日本とドイツの憲法の構造が違うわけですね。政治が連邦と州に分かれているということも要因です。
MC:ウクライナは改正がとても活発です。憲法裁判所が大きな役割をしています。
解説:憲法審査会ですが、憲法改正案の審査をするところです。ヨーロッパ視察にあたって、各会派は、主観を述べています。憲法改正のため国民投票を行うにあたってメディア規制の必要があります。CMを流すにあたって、お金がある方が多大な情報を流すことが出来ます。そうした規制は選挙戦でも同じで、同じ条件でということになっています。

解説:自民党の進藤議員は憲法改正を主張していますが、日本共産党の赤嶺議員は、改正に慎重です。日本は戦争中に各地に犠牲を残した結果、平和主義を活かすという主張があったわけです。
MC:現在の安倍首相の勢いはスゴイものがあります。改正はちゃんとやっていきたいわけですから、地に足のついた議論が必要です。
解説:国民投票がある国とない国があるわけですが、単純な比較はだめです。維新の馬場議員は、ヨーロッパ視察は税金を使って行うもので参加していませんとのこと。前に国会議員の数を減らすとありましたが、減らずに、参院に至っては6名が増える結果となっています。国会改革は進んでいません。
MC:山尾議員は「保育園落ちた」で有名になった人ですが、改正にまったく反対ではなくそれぞれの立場で憲法の中身について自由に議論する必要を論じています。党の主張とは別に、自らの憲法観を語るべきと言ういうことですね。
解説:国民に憲法の視点をしっかり知らせることが大切です。しっかりと伝えるべきです。
改憲すべき理由として、自衛隊の問題があります。それと国際法上において出てきている矛盾の存在です。自衛隊を憲法上きちんと位置付ける。位置を与えて暴走しないようにコントロールするとありますが、本当にコントロールできるのか。

MC:普通よく自民党は強行採決をしますが、それはできない。国民投票は最後の手段で、勝てるとわかってやりたいという政府の判断もあります。
解説:安倍首相がなぜ改正こだわるのかというとレガシー(遺産)の問題です。欲望の現れと言えます。オリンピックも呼べた。万国博覧会も開催される。最後に憲法改正できれば完璧というわけです。トレードオフが必要です。
MC:国会を見ておかないと見えないことがあります。国会の審議は生活と関わっている。
生活の資質を上げることにつながります。石崎議員はテレビ映りがいいですね。パフォーマンスにたけています。小西議員はロジックの人で、その場の対応力がすごいですね。でも理屈の通った返しにあうと納得してしまう弱さがあります。山本太郎議員は、安倍首相の問責決議案に欠席しました。いろいろ言い訳をしていますが、戻って来てほしいですね。
BKCでも映像の授業を担当しているのですが、見たい国会審議がかぶっていたので、授業で学生と一緒にみて授業の一環としました。
解説:それは法学部でもできそうですね。
MC:テレビやその他バイヤスのかかった情報をどう見るか。
解説:社会問題として凶悪犯罪がいろいろありますが、その要因・責任を憲法に押し付ける動きがあります。そういうことで憲法の是非は論じられています。同性婚の問題でも必要があれば変える。ひとつひとつ丁寧に見る、本当はどうなのか。憲法のルールでできる限界はあります。
MC:改憲論者はいろいろな支持母体を持っていて、いろいろと動いています。ちゃんと見て行こうと呼びかけたいですね。質問があればどうぞ
参加者:憲法改正の最終決定は国民投票にあると聞いましたが、英国のEC離脱の問題をみても、冷静に判断できるのか、その時の気分で投票したことが総意になるのではと心配です。
解説:政府も国民投票には慎重になっています。英国だけでなくイタリアも出した決議案が否決され、内閣が退陣する事態になっています。政府は勝つことがはっきりしてやりたいと考えています。民間の理解、冷静な判断が必要になります。

MC:次は「あいちトリエンナーレ」の話です。展示が中止に追い込まれるという凶悪な出来事がありました。共感者の行動として、展示のすべてを映像で流す、同時に音声でも流すということをしました。自分で訪ねたときは、そんなわけで、「表現の不自由展」は見ることができませんでした。国家的美術展にも関わらず介入があったわけです。そんな流れで、文化庁は補助金の不交付を決めました。それも手続き上の理由ということで。
解説:表現の自由に対する侵害ですね。まっとうな判断をしてほしいですね。
MC:現在、表現の委縮が起こっていると思います。川崎でもある映画が上映中止に追い込まれました。オーストリアと日本の協力で企画展があり、キューレターはウィーンの人、作家が日本人だったわけですが、ネット右翼の告げ口などでうまく進みません。ネット右翼の主張は「不敬である」ということで追求して来ます。そんな日本を見て、ウィーンの美術ライターからは「日本は民主主義国家だと思っていたがイスラム国か」とさえ言われています。

解説:昔はこれほどではなかったですが、国策にそぐわないものは押さえつける動きがあります。多様性が政治的な意思で表現できないようにされる。こうした動きが露骨になってきたと言えます。助成金にしても注文つけて望ましいかどうかを測る。トリエンナーレは後だしジャンケンと言えます。今のままだとこうした動きが増えていきます。
表現活動というのは経済的基盤と言えます。商業ベースにならない社会を求めています。
表現に社会的メッセージがあるのは当たり前のことです。都合が悪いことを排除するのはいかがなものか。一時的ではなく長い目で見てほしい。長い目で見ないということは、日本の文化を崩していることです。憲法について必要な規制は経済活動です。特に精神面、物を考え、発信していくことは、なるべく規制しないことがいいことです。社会公共の中、マイノリティは存在しますが、50年100年のスパンで共有できることかもしれない。そうしたことを社会にいかすためにも、表現の自由は守る必要があります。

MC:僕は美術大出身なのですが、芸術とは内心にあるものを表にあらわすものです。できないことをやってみようとすることです。それを制度的にゆさぶるのは危険なことです。
解説:表現の自由を語る憲法12条は、個人を尊敬し、個人を尊重し、個人が同じ価値とすることです。どこまでも保証される必要があります。憲法語る上でダブルスタンダードはあるのです。二つの価値を否定していないのです。
MC:そうですね。ダブルもトリプルもフォースもあるかもしれませんね。
解説:人間性、人間の持っている可能性を憲法は受け止めているのです。
MC:現代はいろいろ変遷していますね。国会の審議を主権者の国民に届ける。関心を持ってもらう。新しい公共性の一環として続けたいですね。今日は本屋での実施でしたが、良いスペースです。お互い享受できますね。 解説:そうですね。このスペースは活用していきたいですね。
MC:立命館に来て5年位なりますが、他学部の先生と知りあうのは初めてです。とてもいい機会になりました。そして次回20日の国会パブリックビューイングは日韓問題を取り上げます。お楽しみに。

飯田先生、植松先生、白熱の講演をありがとうございました。

2019年11月20日(水)国家パブリックビューイングレポート

冷え込みの厳しさがこたえる日の夕方、第2回国会パブリックビューイングが開催されました。今回のテーマは「日韓の未来を考える」です。MCに映像学部の飯田和敏先生、解説に映像学部の宗基轢先生お迎えして行いました。15名の方が参加されて白熱したトークがスタートしました。

MC:国会というのは専門のルールや言葉があって見るハードルが高いために、せっかく見ても退屈で終わることがあります。生活の大変なことを解決する場なので、一度見始めると面白くなります。ただ国会というのはあまりテレビ中継されていません。市民がメディアを通して国会を監視することが必要ですが、今は一人ひとりがサボっていて、民主主義が問われています。この国会パブリックビューイングは、カジュアルに国会を見られる場を作るという狙いがあります。見ることによって国会の問題について考えることができます。日本と韓国の国会を見る予定ですが、まず日本の国会を映像で見てみましょう。

映像:「阿部首相の所信表明演説 10月4日」
アメリカと連携し、国民の安全を確保する。拉致問題を解決する。日中の新時代を迎え、経済交流、青少年交流を進める。地方における経済活動を高める。領土問題を解決する。重要な国である韓国と、国と国の合意を得る。

MC:この7~8月の日本のメディアは、嫌韓キャンペーンに終始していました。不当な言いがかりで、ワイドショーを見ると感化されてしまい、嫌韓感情を募らせていました。今は少し修正されています。日本は韓国に対して「ホワイト国はずし」をして韓国はその対抗措置としてGSOMIAの廃棄に至っています。1919年に朝鮮を併合したわけですが植民地支配の反省をすべきで、姿勢に表すべきだと思います。安倍首相は歴史認識について、歴史問題は政治家が判断するものではなくて専門家に任せるべき、と逃げを打っています。
解説:私は日本の中の在日コリアンの研究をしていて、主には朝鮮学校を研究しています。
ここには帝国主義の名残が多く感じられます。ポストコロニアリティと言いますが、この感覚は、被害者側だけでなく一般の方にもあって、その結果安倍首相のような政治家が出てきています。当時ソウル近郊のハソンでは、日本の警察との小競り合いが生まれ、日本の警察は謝りたいから教会に集まれと誘導して、その場で虐殺を行ったことがあります。殺してすべて教会ごと燃やしたわけです。そういう記憶を持っているということです。

今の政府が言いたいことだけ言って、都合の悪いことは専門家に任せると言っています。
また国と国の縛りもあり、自由ではありませんが、日常を文化を通してお互いに吸収しているという実態もあります。本質をメディアは語ってはいません。昼間から中国の酔っぱらいの報道をするなど電波の無駄使いですね。韓国の本屋を見ると、日本の本屋との違いがあります。それはヘイト本が山積みにされていない、ということです。嫌韓論のコミックが発売されて日本では2万部売れましたが、韓国版をつくったところ売れたのはたった200部です。読んで日本人が「日本人でよかった」と思うような本は韓国では売れません。
MC:私の祖父は日韓併合時代、韓国で教師をしていました。日本に帰っても教え子との交流がありました。その当時の軍人は悪かったのですが、ひどいことばかりではなかったようです。自分としては疑っていたのですが、けっこう本当のことだったようです。自国の言葉の使用を奪うアイデンティティの蹂躙について、祖父は日本の軍人と激しいやりとりをしたこともあったようです。韓国には「アイゴ」という言葉がありますが、これを奪ってはいけない、そうすると生きていけない、と主張したそうです。

解説:当時、朝鮮にはたくさんの日本人がいて、その記憶を持っている人が多い。ただその記憶には立場によって食い違うところがあります。私の父は現在83歳で、その当時は国民学校の生徒だったわけですが父の記憶する日本人は、泳ぎが上手だったと言っていました。学校では日常会話は日本語と決められていて、朝鮮語を使うと「私は朝鮮語を使いました」というたすきをかけさせられ、次の人が出てくるまでかけ続けなければならなかったそうです。現在の朝鮮学校も日本語を使ってはいけないとされていますが、言語の規制というのは抑圧されたとよくわかる事実となっています。ことばの「アイゴ」は疲れた時やしんどい時に発する言葉で、韓国人にとっては本当に身近な言葉です。
MC:歴史の重さを個人として考える必要がありますね。
解説:それは行動で示す必要があります。政府はこれ以上補償をしたくないと言っていますが、実はこれまでに一度も補償をしたことはありません。韓国独立の祝賀金としては補償しましたが、韓国人の苦痛に対する補償はしていないのです。韓国が求めているのは慰謝料としての請求なので、一度認めるとどんどん来るだろうと恐れているのです。
MC:そうした事実が共有されていませんね。旭日旗についてはどうでしょうか。
解説:旭日旗はむずかしい問題です。ある韓国人がたまたま翼の見える窓際の席に案内されて、翼には日の丸がありますので、見るたびに思い出したくないことを思い出して恐怖に襲われた、という人もいます。そうした恐怖を感じる人もいる。旗は一つの伝統ですという説明があればと思います。日の丸の旗をかざして応援する行為も国として説明する責任があると思います。
MC:人によってPTSDが生まれるということですね。日の丸はナチスのハーケンクロイツほどではありませんが、そうした印象もあるということです。

解説:ポーランドでナチスのお土産を販売しています。被害を被った人たちでも現実はそういうものかもしれません。まとめて見るのは難しいですが、ひっくるめて見ていかないといけないと思います。
MC:戦争の総括は、人権を回復するということですね。安倍内閣の民族差別は顕著で、そうした政策を続けています。首相を牽制しなければいけませんね。あいちトリエンナーレも同じ本質ですね。
解説:ホワイト国はずしも同じ一連の流れでこれは嫌がらせです。こうしたことを続ければいやおうなく言うことを聞くだろうと政府は思っているということです。ただ韓国はほとんど痛手を受けていません。輸出規制にも耐えています。それだけでなく韓国では日本への不買運動などで対抗しています。日本の黒字はほとんど韓国からのものです。両国が耐えている中で、いちばんの勝者は「サムソン」です。経済とリスクマネンジメントを強化しいかなる事態にも対応し、力を発揮できる企業ができたということです。
存在感を発揮し、経済をコントロールしていったのです。
MC;では次に韓国の国会について紹介してもらいましょう。
解説:実は大阪のG12の時に、トランプが板門店に行って北朝鮮まで歩いていくということがありました。メディアもその場で動揺したそうです。これにはG12もふっとんで、世界の注目を浴びました。これは西洋の戦争文化の解釈で言えば、戦争に負けた側の指揮官がやることです。
MC:表敬訪問ということですね。
解説:このことは前日に安倍首相と会ったときにはひとこともなかったそうです。韓国の国会に話を戻すと、今国会はバトル中です。韓国の政権は保守主義と民主主義があって、保守主義というのは軍独裁ですが、植民地時代に日本に協力していた人たちが自分の罪を告白すると許されるということで、軍事独裁につながった経過があります。この政権は権力と金を生み出し、でもキムデジュンの時代は権力を持った人々にはつらい時代で、経済成長を呼び起こしましたが、パク・ウネは弾劾され、そしてムン・ジェインの時代です。韓国の国会も法律を作る場で、起案された法案が様々な委員会を通り可決されていくのですが、それがなかなかうまく通らず、80%は立ち消えてしまいます。委員会でも国会でも、対立する議員たちが怒鳴りあいでやりあっています。議長の職権でマジョリティの党が強硬採決することもあります。そうした喧嘩の中、次は誰が議長になるのかが関心となっています。今の与党はマジョリティではなく政権を維持するのに連立が必要となっています。北朝鮮と平和な関係を持つ、そのためにアメリカを介在させて北朝鮮の脅威から脱却など、東アジアももしかしたら平和の進展があるかもしれません。

MC:安倍政権は今ピンチで切り崩されていると思います。官邸はチームワークができていませんし、首相は孤立しています。「桜を見る会」の推薦にも関与ということが出てきていますし、これは公私混同の極みです。
解説:別にピンチとは思えません。森友問題のときに、公文書偽造で終わりかと思ったのに続いている。これを見ると日本という社会は恐ろしいと思います。
MC:本来ならあそこでとどめのはずですね。
解説:常識が通じる社会でないといけませんね。森友問題でもだめで敗北を期しています。
マスコミはどう報道するのか、マスコミは市民に対してどう表明するのか。
MC:この辺で参加者のみなさんからの質問を受けましょう。
質問:「桜を見る会」について教えてください。
MC:「桜を見る会」でも情報公開は進んでいます。あれは公共の金を使った選挙活動です。
説明責任があります。宴会をさせているのに明細が一切ないのはおかしい。先の大学受験の英語でもベネッセに利益誘導するやり方がありました。これは身の丈発言でいったんはヤメになりましたが。我々を置いておいて、企業に利益を垂れ流しするやり方をしています。法治国家とは思えません。
解説:怒るべきはヘイト本です。これは日本の出版会の危機ともいえる有様です。昔、韓国では世界の知識を訳された日本の本から得ていました。知識大国日本の衰退ともいえます。今日本の本屋はヘイト本しかありません。危機感を覚えてほしいです。
MC:なんでこんなことになったのか。隣を見ると無気力の人が多い。一人ひとりがおかしいと態度を表明することが必要です。TAX10%でも国民が怒り狂えばストップできた可能性はあります。ごまかされないことが大切です。
質問:韓国の今がわかるにはどうしたらいいですか。
解説:映画を見るのもひとつだと思います、「JSA」ですが、北朝鮮と韓国の共同警備地区であるJSAで、北朝鮮の将校と兵士が韓国軍に射殺される事件について描いています。この映画は韓国の民主化の起爆剤となりました。また「タクシードライバー」は、民主化を求める民衆が蜂起した光州事件を描いています。弾圧に立ち上がる民衆にとって、精神的な応援となる作品でした。
MC:「1987年ある戦いの真実」は2017年の映画ですが、学生運動の運動家の獄中致死事件を発端に広がった韓国民主化闘争を描いた映画です。大体いま上がった映画を見れば現代韓国がわかりますね。
解説:もともとある軍事独裁政治の兆候はなかなか変わるものではありません。
MC;そうですね。時間をかけてこつこつと進めていくしかないですね。

今日はありがとうございました。

2019年11月29日(金)国会パブリックビューイング第三弾レポート

冬の穏やかな日の夕方、国会パブリックビューイングの第3回―多様化する日本社会を考える:アメリカの事例を参考に―が開催されました。今回のMCは映像学部の飯田和敏先生、解説に文学部の小川真和子先生が参加されました。今回の参加者は8名。週末ということでいつもより少なかったのですが、充実したお話を聞くことができました。

MC:今日は、文学部の小川先生を迎えて多様化する日本社会についてお話を聞きます。

解説:日本は単一国家だと信じている人も多いですが、最近はバスや電車に乗ると周りは外国人だらけです。政府は2030年に日本の総人口である1億2400万人の半分にあたる6千万人のインバウンドを目指すとしていますし、京都の人口は147万人ですが、昨年はその5倍以上にあたる外国人が市内に宿泊しました。

また立命館大学は留学生の受け入れに積極的ですが、それは政府が2008年に発表した「留学生30万人計画」に沿ったものです。それによって日本の国際化推進と、外国との人的ネットワークの構築、日本とのネットワークを築こうとしているわけです。

在留外国人は現在、342万人ともいわれています。2019年4月に施行された改正出入国管理法によると、日本は向こう5年間で34~35万人の単純労働での外国人材受け入れを目指すとしています。安倍首相は、この政策は「移民の受け入れではない」と主張していますが、たとえば経済協力開発機構(OECD)基準は「国内に一年以上滞在する外国人」を移民とカウントしているように、国際水準に照らせば現在、日本はすでに世界で五本の指に入る移民流入国となっています。

また、改正出入国管理法が受け入れるのは、特定技能を持った者で、介護・外食・農業・漁業などの14業種に絞っています。これらは人手不足の業種といえます。

MC:労働力不足で手が回らないところに対する解決策というわけですね。

解説:改正出入国管理法が定める特定技能には1号、2号という区別があるのですが、1号は特定分野で一定の技能を持つ人で滞在期限は最長で5年間。家族を連れてきてはいけない。2号は技能に熟練した人で、長期滞在・家族の同伴も可能です。この法律は4月から施行されていますが、まだ目標とする数字の3%しかビザが交付されていません。そもそも特定技能の中身があいまいなど、いろいろ使えない法律となっています。来る外国人にとってもよく分からない。だからろくに機能していません。

MC:高プロ(高度プロフェッショナル制度、高度な専門知識を持ち一定以上の年収を得る労働者は労働基準法が定める労働時間規制から除外する制度、2019年4月施行)と一緒だ。

解説:ここでアメリカの移民政策について見てみると、アメリカという国はネイティブアメリカン以外は移民で出来た国家です。かつてはだれでも入国可能でしたが、特定の国籍の人々を締め出す移民法ができました。一番古いものが1882年の中国人排斥法です。ゴールドラッシュの時代、多くの中国人がアメリカ大陸に来たことが大きなきっかけとなって、その後、主にアメリカ本土西海岸に中国人移民がきました。しかしやがて白人の仕事を奪う、といった名目で排斥運動が起きます。またハワイには、多くの日本人が移民としてやってきています。それはさとうきび畑での働き手を求めていたからです。やがてハワイがアメリカに併合されるとハワイから西海岸に移住したり、日本からアメリカ本土に直接移民したりしてくる人が増えた。そうすると1924年には排日移民法というのができて日本からアメリカへの移民が禁止されます。要するに人手が足りない時には外国人を受け入れて、それが解消すると今度は「出ていけ!」ということになるわけです。

メキシコ移民にしてもしかりです。第二次大戦中の労働力不足を解消するために始まったブラセロ計画でメキシコから多くの労働者がアメリカにやってきましたが、1964年にこの計画が終了します。メキシコ人が増えすぎた、ということでこちらを締め出して、同じ年にアメリカの移民法を改正して、今度はアジアからの移民に門戸を開く・・こんな具合です。

これからアメリカの国会を見るわけですが、トランプの英語というのはとても分かりやすい。中学程度の知識があれば理解できます。アメリカは今年2月の中間選挙で民主党が躍進をしました。連邦議会下院の過半数の議席を取ったわけです。しかしトランプは、下院議員に当選したSquadと呼ばれるマイノリティの女性新人4人組議員に対して、「ゴーホーム、ゴーバック」というような発言をしています。彼女たちはアフリカ系のトリーブ議員、ブレッスリー議員、プエルトリコ系のオカシオ・コルテス議員、そしてソマリア難民として子どものときにアメリカにやってきて市民権を得たオマール議員で、いずれもアメリカ人でそもそもホームはアメリカです。そのような人々に対して暴言を吐くトランプ大統領は、多様性を受け入れられない人なのですね。

解説:アメリカの国会というのはパフォーマンスの場です。ケーブルテレビでいつも審議を中継しています。今、ご覧になった2019年のトランプ大統領一般教書演説の中で、トランプは、メキシコ人不法移民を犯罪者と決めつけた上で壁を作って来られないようにする、と言っています。ただこれは誤りです。不法移民の多くは壁を越えて来ません。合法的に観光などの目的で入国して、そのまま残っている場合などが多いのです。また、犯罪率も不法移民の方が他のグループよりも低いと、現にサンフランシスコ市長などはトランプ大統領の見解に異議を申し立てています。要するに不法移民がスケープゴートにされているわけです。

MC:次に日本の国会を見てみると、国会の質問で野党から「これ(改正出入国管理法)は移民政策ですか」と問われた安倍首相は、「移民政策ではない」と言い張っています。参院では、移民の受け入れはきちんと設計して見据えてやらないと国家100年の失策となると言っています。
「受け入れの哲学は何か」の質問で、多文化共生なのか、同化政策なのかと聞かれた安倍首相は「移民政策とは考えていない」とはっきり答えています。自国の価値観を強制するのではなく、お互いに協調し共生する政策が必要と、具体性に欠ける答弁に終始しています。

解説:日本の政策は外から見れば移民受け入れです。それに、いくら「労働力」が欲しい、と言い張っても実際に日本にやってくるのは「人間」です。たとえ家族の同伴を禁止しても、たとえば独身者が日本で恋をして結婚し、子どもが生まれるかもしれない。そこまで政府はコントロールできるわけではないのです。そこをしっかりと踏まえないといけません。

MC:ここで映像を見ますが、単純労働とは何かを問うています。特定の技術を持たない人はダメとのことですが、どの程度の相当な技術なのか、試験で見極めるのか、それぞれの分野ではっきりしているのかが問われています。

解説:中身を見ていると、はっきりしないままうやむやのまま法案が通っています。この法案は、実は衆議院・参議院とも、20時間ちょっとの審議時間しかかけていなかったなど、拙速ともいえる過程で通ってしまいました。

また、すでにある「技能実習制度」にも多くの問題があります。次にお見せする国会審議では、外国人が雇用の調整に使われている問題が取り上げられています。シャープの亀山工場で4000人が雇止めにあうということがありました。突然4000人が職場から放り出されたわけです。

MC:これは入国管理局の問題もありますね。

解説:こうした事態が本当に解決できるのか。労働者と業者が直接の契約は交わしておらず、間に下請けが入っています。さっきも言いましたが労働者がスケープゴートとして使われています。また、このような乱暴な政策を取り続けていると、やがて来てほしい外国人労働者が日本を選ばなくなるかもしれません。一体、日本は魅力的な働きの場でいられるでしょうか。また、日本は大勢の外国人と一緒に暮らす覚悟がどこまで出来ているでしょうか。排外主義の台頭は決してアメリカだけの問題ではありません。現に日本でも、外国人排斥を訴えるヘイト系の運動やネット上の書き込みが横行しています。

MC:こうした問題をわかりやすく読める本を紹介します。『ルポ川崎』は、多文化共生の街・川崎が舞台ですが、同化を無理強いすることなく共生しています。それまで、ここは地獄かといわれたこともありました。ディストピアの本質が書かれています。これから日本も川崎化していきます。川崎の悲劇を繰り返してはならない。次は『写真集ひきがね』ですが、これは抵抗する人々の姿を映したのです。市民ができることはいろいろあります。ヘイトデモがあった時、警察がそのデモを守るようなこともあいました。あいちトリエンナーレの展示の問題もしかりです。

『団地と移民』という本はブラジル人が住んでいる静岡の団地で、新しく生まれた子供たちがヒップポップで自分たちのアイデンティティを自己主張しています。日本語で歌っています。『サウダーヂ』という映画は2011年公開ですが、甲府に住んでいる在日外国人の若者たちが、反目しあい日本社会やそのコミュニティに対面する現実を描いています。この映画のポリシーはソフト化しないというところにあります。見たければ映画館で見ろということですね。アイデンティティはどこにあるのか。多文化との共生を考えさせられます。そういう意味で、あたらしい2020年を迎えたいですね。

今日はありがとうございました。