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2021.02.15

2020年12月のブックカフェレポート

ニュース

今回は2回開催となった12月のブックカフェ。
今年はすっかりオンライン開催となりましたが、ここは1年の締めくくり。
参加者の皆さんに紹介していただいた本達をぜひ!

12月17日(木)12月22日(火)

2020年12月17日(木)リモートブックカフェレポート

寒さに厳しさが増した日の夕方、リモートブックカフェが開催されました。
今日の参加者は、政策科学部2回生の方、総合心理学部3回生の方お二人、文学部3回生の方、4回生の方の5名の方が集まってくれました。

こんな本が話題になりました

●最近伊坂幸太郎の『砂漠』を読みました。5人の男女がハチャメチャやりながらお互いの絆を深めていく物語です。自らの未熟さに悩んだり、手探りでも前に進もうという青春ど真ん中の様子が描かれています。

●サリンジャーの『フラニーとゾーイ』を読みました。5人兄弟の4番目と5番目の兄妹が主人公で、フラニーがいろいろ考えすぎてまわりの人間が皆バカに見えて、半分実家に引きこもり状態になってしまいます。ゾーイはそんなフラニーに声をかけて励まします。読んだのが村上春樹訳だったせいか感情の起伏が薄くて精神的不安定な二人なのですが、そんなに揺れ動きません。

●ビクトル・ユゴーの『レ・ミゼラブル』がようやく第3巻まできました。第1巻は、刑務所から出てきたジャン・バルジャンがマドレーヌ市長になります。第2巻はテナンルエ夫婦から冷たく扱われているコゼットを迎えに行って引き取ります。第3巻はマリウスが中心で、コゼットに一目惚れをします。マリウスは自分の父がテナンルエを恩人としていますが、コゼットのことを考えるとためらいがあり葛藤します。あと2巻、読了できますように(祈)。

●伊坂幸太郎は『重力ピエロ』が印象的でした。書き出しの「春が二階から落ちてきた」で心を掴まれて、最後の罪を犯しても逃げおおせるところに喝采を送りました。

●夏川草介さんの『始まりの木』を読みました。民俗学専攻の女子学生が主人公で、その指導教官が日本中を練り歩くフィールドワークの中で「現代の日本人が失ったものは何か」を問いかけます。現代版『遠野物語』のような本です。

●加藤シゲアキさんの『オルタネート』を買いました。マッチングアプリ「オルタネート」が必須のウェブサービスとなった時代に生きる三人の高校生が主人公で、悩みと挫折、葛藤の日々の中、三人の運命の日が訪れ、人生が加速していきます。世界との距離をそれぞれに掴むまでの物語です。

●デビュー作もそうですが、ものすごく暗い要素が多々ある作風でしたが、少し変わってきたようです。『ピンクとグレー』から3作は芸能界が舞台でしたが、それも最近は変わってきています。

●坂木司の『アンと愛情』を読みました。これは「和菓子のアン」シリーズの第3弾で、高校を卒業して何もやることもない主人公がデパ地下の和菓子店のバイトになり、一癖ある同僚の中で上生菓子の美しさや和菓子の歴史の面白さ、お客さんとの関わりの中での成長物語です。とにかく和菓子がおいしそうでたまりません。

●『ファーストラブ』を読みました。自傷行為を続ける就活中の女子大生が起こしてしまった事件。臨床心理士との攻防戦の中で見えてくる事実の数々。これは名作です。

●『コーヒーが冷めないにうちに』は過去に10分間だけ戻れるという噂の喫茶店が舞台で、そこにあらわれた4組の人々が過去を変えたいと願うのですが、与えられた時間は10分間だけ。すぐ行動しなければ終わってしまう。その葛藤が描かれています。

●『夢をかなえるゾウ』はヒンドゥ教の神であるガネーシャが今の自分を変えたい人々に人生の秘訣を教授するというお話です。やり方はシンプルだけれどそれを習慣化させるまでが大変、という教訓がわかります。
◎最初のドラマ化での小栗旬が良かった!ガネーシャがガネーシャらし過ぎて笑った~。

●最近よく駅伝を見るのですが、きっかけは『風が強く吹いている』でした。なかでも印象的だった言葉は「長距離ランナーにとって大切なのは速いことですか。」「いちばん大切なのは強いこと。」を読んだ時でかっこいい!!と思いました。ひとりひとりバラバラで走っているのに絶対に一人じゃない、孤独ではなくつながりを感じました。
◎走っている学生たちが高みを目指して、何かを乗り越えようとしていると感じます。

●『ゴールライン』は、小学生が陸上をやる物語です。熱いものが体の中を湧き上がってくる。ゴールラインを目指して疾走する少年たちの今を描きます。

●巴里夫の『ヨーイドン』は昔のコミックですが、小さい頃に読んで印象に残っているマンガです。足の速い元気な女の子が、空の雲を見ながら走っていると車に惹かれて死んでしまいます。その雲を、庭で洗濯をしながらお母さんも見ていたという泣かせるシチュエーションがあって、お母さんが亡くなった姉のことを妹に話して聞かせます。細かいエピソードは抜け落ちているのですが、どこか記憶の片隅に残り続けてきました。どこに惹かれたのか再読して確かめたいです。でも今は絶版です・・。

●最近、俺様系の少女漫画が多いですよね、その始まりは『花より男子』にあると思います。
かなりお金のかかるハイレベルな高校を舞台に、貧乏人の娘と学園を牛耳るF4のメンバーとの闘いが始まり、そのなかで恋愛も始まり・・という物語です。テレビシリーズは松潤がとてもよかったです。
◎これは台湾版、韓国版とありますよね。台湾版はおとなしめ、韓国版は弾けているイメージです。

●同じようなコミックで一世を風靡したのが『花ざかりの君たちへ』で、男子学園にひとり紛れ込んだ女の子が、ハイジャンパーの男の子を復帰させたいと願う奮闘物語。もちろん恋愛模様も。ドラマでは堀北真希が良かったです。おとなしく、印象的で、かわいい!という女優さんはこの人以外いないような気がします。

●最近のテレビドラマはコミックのドラマが多いですが、『ごくせん』はその走りですね。
任侠集団の中で育った熱血教師ヤンクミが落ちこぼれのクラスを担当して大活躍する物語です。あの仲間由紀恵が二十歳の頃でしたか・・。

●『耳をすませば』、これもコミックの映像化作品です。読書が大好きな中学1年生の女子。
図書委員をしている彼女は貸し出しカードに同じ名前の男の子の名前を見つけて誰がわからない彼に思いをめぐらします。ある時、猫に導かれて不思議なお店に舞い込みます。そこでの出会いとは‥?ジブリ作品の魅力とも相まって面白いです。

●『ヴィーナスの片思い』という本があるのですが、神話の名シーンを描いた本です。
ギリシア神話、ローマ神話。北欧神話、ケルト神話などの素養があればお茶の子さいさいですが、何も知らないとちょっと辛い感じです。

●『ハチミツとクローバー』は美術大学での青春群像劇です。それぞれの片思いも描かれていますが、恋愛恋愛している印象がないので、私でも落ち着いて読めます。主人公の美術に取りつかれている様子もテーマの一つです。

●『文豪ストレイドックス』を愛読していますが、太宰、芥川といった文豪がそれぞれの作品にちなむ異能力は冠して戦うバトルアクション漫画です。文豪が例外なくイケメン化していること、そして能力バトルの様子が本当に面白いです。

●言わずと知れた『銀魂』ですが、少年マンガを読まない僕でも知っている作品です。作者はこの作品のことを「SFなんちゃって時代劇コメディー」と言っていますが、ドタバタギャグコメディだと思いきや、過去やその因縁にまつわるストーリーも描かれていてシリアスな部分もあります。時は江戸時代「天人」とよばれる宇宙人から襲撃を受け長きに渡る戦いをしてきたけれど、天人の巨大な力の前に江戸幕府は天人を受け入れ開国してしまうという壮大な物語です。

●有名すぎるほど有名なのは、『名探偵コナン』ですが、黒の組織によって少年化させられた高校生探偵・工藤真一が、江戸川コナンと名乗り、組織の行方を追いながら数々の難事件を解決していく推理漫画です。読み応えがあります。
◎実写化されたものでは小栗旬主演の2部作が好きです。コナンになる前の新一と、灰原と一緒に一時的に体が戻った新一の活躍が描かれています。

●『約束のネバーランド』は、元ネタがカズオ・イシグロの『私を離さないで』と言われていますが、孤児院で育てられた子どもたちが、自分たちの過酷な運命に抗って生きる物語です。アニメ化や映画化など、今、話題を集めています。人気があるからといってダラダラと連載を続けるのではなく、ちゃんと収束に向かっているのが良いです。

●『鬼滅の刃』は、今は幼稚園から大人まで夢中になっている作品ですが、この間バイト先で「君、炭治郎に似ているね」と言われて誰なのかまったくわかりませんでした・・・。

●『ケーキの切れない非行少年たち』は、認知能力が低いために自分やまわりの状況を把握できない、罪を犯しても悪いと認識できない・・・非行少年の中にはそのような認知不全の人が多く、その人たちが、社会の中で生きていくには?というメソッドが書かれています。

●昔よく読んだ雑誌は「ちゃお」ですが、「ララ」も印象的でした。
◎「ララ」と言えば山岸涼子の『日出処の天子』がよかったです。スーパー能力を持った聖徳太子と、蘇我蝦夷が関わりあいながら政敵を攻略し、時代を取っていく物語です。聖徳太子の描き方が独特で、とても魅力的でした。

大好きな『憂国のモリアーティ』ですが、モリアーティの視点でシャーロック・ホームズを見ていく物語です。ホームズの物語は歴然としてあるので、どこをどのように関わりながら、どのように終わっていくのかドキドキ心配しています。

●有川浩さんの『シアター』がとても大好きで、続きを読むのを楽しみにしていたのに、どこかでいろいろ批判があって、もうやめると言っているのが寂しいです。
◎劇団のリアルな様子がよくわかる面白い作品でしたよね。弟くんの成長を応援していました。

今回は本以外の話も大きく広がってけっこう充実していました。そんな楽しみ方もできるブックカフェでした。

2020年12月22日(火)リモートブックカフェレポート

2020年最後のブックカフェが開催されました。本日の参加者は、産業社会学部2回生の方、文学部3回生の方、4回生の方、理工院の方、総合心理学部3回生の方お二人の計6人の方が参加してくれました。今回はそれぞれの「BOOK of the YEAR」を語り合おうということで始まりました。

こんな本が話題になりました

●図書館で佐藤春夫の本を見つけました。その中で心に刺さったのは『薔薇を恋する話』です。すごいピュアピュアの物語なのですが、文豪本人を主人公に置いて書かれた小説で、あまりこんな形態は見たことなかったので「なんじゃこれは?」と言いながら読みました。文庫でもなくなってきている作家なので、簡単に読めなくてザンネンです。

●森博嗣の『スカイクロラ』シリーズを読みました。戦争を請け負う会社がある世の中で、永遠に生きる子どもが出て来て戦い続けています。表現力に富んでいて、生きるって何だろうと考えさせる作品です。

●星新一が大好きなので、『星新一 1001話を作った人』は生まれてからの彼の足跡もわかって良かったです。星新一のお父さんが伊藤博文の秘書をやっていたとか、渡辺恒雄と同級生で、気に入らない校長をナベツネが袋叩きにしていた時にそばで見ていたとか、有名な会社のご令嬢とお見合いをしていたとか。女子高の教師に応募したとき落ちてしまって、でもその理由が優しくてハンサム、しかも独身というところでひっかかったそうですよ!

●『世界の終わりと夜明け前』前は浅田いにおの作品で、この作家さんはノスタルジーとモラトリアムを描くのがとてもうまいです。可能性の上限というかその乖離をうまく表現しています。

●朝井リョウさんの『死にがいを求めて生きているの』はとても気持ちの悪い作品でした。幼なじみの二人の男の子がいて小学校・中学校・高校と、他の人の視点でそれぞれの生い立ちが語られます。完全に相いれない「海族」「山族」のそれぞれであることもわかっていきます。一人の少年が昏睡状態になってしまい、もう一人の少年は毎日その少年の見舞いに来ます。でもそれは友情からではなく、自分に都合の悪いことを自分のいない間に目覚めて言い出さないかを見張っているのです。そういうドス黒い心の中を文章化すると気持ち悪くなります。
◎でも朝井さんの言葉のセンスは好きです。このシリーズは「螺旋プロジェクト」というのですが、何人もの作家さんが競作していてそれぞれに特徴があって面白いです。

●『彩雲国物語』シリーズは、長すぎて他の人には薦めにくい作品となっています。この物語は中国風の世界観の中で女性が官吏になることが許されていない社会ですが、主人公はがんばって官吏になろうとします。その切磋琢磨が描かれています。

●『四畳半タイムマシブルース』はようやく森見のドタバタ大学生活が帰ってきた!という思いで大歓迎で読みました。故郷に戻ってきたようです。

●私がお薦めしたいのは、太宰治の『斜陽』です。戦後の日本の貴族社会の崩壊を描きつつ、もう今はない貴族社会の片鱗を「おかあさま」に投影して表現しているのはスゴいと思います。その滅び方も美しく、儚く滅びゆく様子を描いていて、そうした太宰の筆致の文章、うますぎです。

●『みんなの道徳解体新書』は「読みで」がある1冊です。身の回りにある道徳観について書かれています。例えば、ある時からお風呂の掃除をお母さんとけんじ君がしています。お母さんが「もうけんじくんはお風呂掃除ができるようになったから明日から一人でやってね」と言います。けんじくんは、「ワーイ!僕できるようになったよ」と喜びますが、ここでこの本は「けんじ、大人に騙されていないか」と問いかけます。そういうところはとても面白いです。ハッとさせられます。

●雑誌の「PEN+」の手塚治虫特集がめちゃおもしろかったです。口絵にテレビアニメ化された主人公たちのイラストがありますが、これがまたカワイイ!「リボンの騎士」なんかメチャメチャ可愛いです。
◎手塚作品は読みごたえがありますね~ 『火の鳥』とか。

●今日一番お薦めしたかったコミックは『ランウェイで笑って』です。ショーのモデルを目指す女の子とデザイナーを目指す男の子が頑張る物語です。女の子はコレクションのモデルを目指しているのに154cmしかありません。そんな足りないところを補うほどのパワーで、とにかくまぶしいです。男の子のカバンを前にして、偉い人が「あなたには才能がある」という場面は鳥肌ものでした。コミックはまだ終了を迎えていませんが、夢が叶って終われるのか心配しています。果たして努力は実ったのか?

●『PSYCHO-PASS』は、人間のあらゆる心理動向や性格を数値化できる機能もった未来都市が舞台です。その中で犯罪を取りしまる刑事たちが主人公す。絵の好きずきはあると思いますが、登場人物たちが二人で背中を向けあって敵と戦っている姿は感動します。

●文庫だったら伊坂幸太郎さんの『AX』がいいです。『グラスホッパー』『マリア・ビートル』に続く三部作ですが、今回の殺し屋は無類の恐妻家。家族を得て殺し屋を辞めたいと願う日々。殺し屋として淡々とした日々と裏返しの家族を想う日々・・・そんな人間らしさを感じます。

●伊藤計劃の『ハーモニー』を読みました。百合小説とも言われますが、決してそんなことないです。女の子三人がいます。その中でカリスマ性のある子がいて、ただ主人公はその子以外のカリスマ性のある子を頭の中に作り上げます。現実のその子と理想のその子の乖離が始まった時、現実のバランスが崩れてしまいます。作品の中の文章で「やさしさに殺される」というのがありますが、人々の動向を監視しあっている市民たちがいる中での管理社会の在り方を問うています。

●『37.5℃の涙』は、37.5℃の熱があると幼稚園などに登校停止となる基準の体温で、幼児教育士の物語です。主人公は家族とうまくいかなくて疎外されて生きてきたけれど、子どもに対する愛情はピュアで素直な性格です。幸せになってほしいと思いながら読んでいます。

●イイなと思ってみているのは、『New MAGIC』と言って、篠山紀信がディズニーを撮った写真集です。ディズニーのキャラクターが気ままに過ごしているのを切り取っています。普段見ない衣装を着ているミッキーなどレアな写真も盛り込まれています。

●普段はエッセイなんて読まないのですが、これは面白かったので紹介します。吉田都さんの『バレリーナ 踊り続ける理由』です。ロイヤルバレエ団のプリンシパルを務めた人で、すごいバレリーナです。バレリーナって本当に身体薄いんですよ。内臓がちゃんと入っているのか疑いたくなるほどです。バレリーナはつま先だけで全体重を支えます。そのために普段使わない筋肉を使っています。薄くて細いバレリーナですが、全ての筋肉が鍛え上げられていて、一種の芸術です。そしてこの表紙を見てください。当時50歳なのに本当にかわいいんですよ。魅力的ですよね。

●何度も読み返しているのが『からくりサーカス』です。めちゃ面白いです。本当に普及させたいと思っています。マサルとナルミという主人公達が出てきます。マサルはめちゃ弱いのですが、遺産を相続したために親戚に狙われます。ナルミは否応なしにからくり人形との闘いに巻き込まれてしまいます。壮大なバイオレンスアクション物語です。二人が闘いの中で成長して、二人が背中を合わせて戦うシーンは熱くて、このシーンを見るためにここまで読んできたと感じさせるほどです。

●なぜか読み続けているマンガが『きのう何食べた?』です。ゲイのふたりの同棲生活を描く日常漫画ですが、生活の楽しみの中に夕ごはんづくりというのがあって、これは簡単で手軽でおいしそうです。いつも使っている調味料に「ごんべんのつゆ」というのがあるのですが、これは実際にある「にんべんのつゆ」のもじりです。二人暮らしの空気感とか、季節の出来事の中に職場のこと、家族のことなどが出て来て、ハラハラしたりもありますが、また夕ごはんに戻ってきて、ゆったりといつまでも読み続けていられる感じです。

●CLAMPさんの『東京BABIRON』は、陰陽師の主人公が東京で起きる怪奇現象や霊的事件を解決していきます。またそれに絡めて自殺やダイヤルQ2、いじめ、新興宗教、介護問題などシリアスなテーマも取り上げています。主人公と暗殺集団の跡取り息子とのバトルを軸に話が進んでいきます。

●お笑い芸人の「バイク川崎バイク」の本を読みました。お笑い芸人だけれどめっちゃキレイな文章で驚きました。

●テレビドラマであったんですが、『アンナチュラル』は注目です。不自然死究明研究所を舞台に、法医学者が謎の死を究明していく物語です。そこで死者に対する敬意の払い方、残された家族への気持ちなど学ぶことができました。あと主人公がご飯を元気に食べるのですが、そのシーンが「ああ生きているんだ」と感じられてよかったです。菅田将暉が犯人だといずれわかるのですが、その生い立ち、動機、背景、犯罪の理由が最後まで明らかにされません。それを見ると、犯人に感情移入する隙間を排除している感じがします。『鬼滅の刃』も鬼側の事情とかも語られますが、配慮していいのか考えさせられます。
◎脚本の野木亜紀子さんがいいですよね。これまでも『ラッキーセブン』『図書館戦争』『空飛ぶ広報室』『掟上今日子の備忘録』『重版出来』『逃げるは恥だが役に立つ』などなどの傑作を送り出しています。『空飛ぶ広報室』の折に有川さんには「原作を正しく読み解いた上でエピソードを取捨選択する手腕の確かさを高く評価された」ということです。原作がある場合、オリジナルのエピソードの中に独自のエピソードを混ぜ込みながら原作の魅力を失わずいっそう輝かせる確かな書き手ですね。

●『ドラえもん0巻』が出ているのですが、これはのび太とドラえもんの最初の出会いを小学1年生や幼稚園雑誌などそれぞれのパターンを載せたものです。机の中からドラえもんが出てくるというシチュエーションは一緒なのですが、いろいろ変化の様子があって楽しめます。何より小学1年生から親しんだ『ドラえもん』というのは、普遍性があると思います。ジャイアンやスネ夫を始め、人間関係の中身やドラえもんの道具に対する憧れなど・・。幼稚園から60代の方まで等しく皆が知っているというのは凄いことです。

●『ホーンテッドマンション』は世界中のディズニーパークにあるお化け屋敷のアトラクションのことで、ゲストは3人乗りの椅子型の乗り物に乗り、進んでいくと様々な亡霊たちが出てきます。乗っている間はまったくわからないのですが、友達が言うには7回上げて落とされたそうです。ディズニーはいろいろ楽しめますね。

今年心に残った本で語り合った2時間でした。あなたが大切に思っている本はどれですか。また次のブックカフェでお会いしましょう。