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2021.07.05

『馬疫』 茜灯里先生トークイベント開催報告

ニュース

トークイベントレポート
6月22日(火)16:30~18:00
『馬疫』で日本ミステリ―文学賞大賞新人賞を受賞された、茜灯里先生をお招きし、トークイベントを開催いたしました。初のオンライン開催です。

茜灯里先生プロフィール

東京都出身、滋賀県大津市在住。朝日新聞記者、フリーの科学記者、国際馬術連盟登録獣医師などを経て、現在、立命館大学総合科学技術研究機構教員。「オリンピックに駿馬は狂騒(くる)う」で令和2年、第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。令和3年、受賞作を改題した「馬疫」(光文社)で小説家デビュー。
東京大学理学部地球惑星物理学科、農学部獣医学専攻卒業。東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。
博士(理学)、獣医師。研究者として「ニュートリノ」(東京大学出版会)、「科学ジャーナリストの手法」(化学同人)などを分担執筆。
学生さんへ...ニューズウィークへ寄稿した「短期間で目標を達成するスキル」をぜひご覧ください。 https://www.newsweekjapan.jp/stories/carrier/2021/05/1toeic-90012.php

大学教員であり、獣医師であり、理学博士で学術書の執筆もされ、小説デビューされた作家でもある茜先生ってどんな人?ということで、今までの経歴から執筆活動、馬の話などをお伺いしました。

石が大好きできれいな石をずっと見ていた少女時代。学校帰りに毎日1冊ずつ文庫本を買って読んでいた小学校時代。馬術部に入りたくてあこがれた中学校時代。
SF小説『われはロボット』を書いたアイザックアシモフの科学エッセイに魅せられて、自分も科学を伝える人になりたい、と東大理学部へ進学。卒業後は朝日新聞の記者に。インタビューが大好きで、人物をもっと掘り下げて書きたい!と思い、いつか小説を書こうと温めてきました。

馬についてもお話しいただきました。
最近はウマ娘が流行っているけれど、そこから本当に馬を好きになってくれる人が増えていてうれしいです。馬は人との信頼関係が築ける動物で、信頼する人間に対してリラックスします。草食動物なので優しく弱いところもあり、守ってあげたいと思える存在です。
馬術でマラソン競技をしていたときの、競技に適したアラブ種が好きです。小柄で華奢な体躯ですが、耐久性に優れています。
馬のトリビアもいくつか紹介していただきました。
馬は目がかわいいですが、340度見えるんですよ。

光文社『馬疫』
茜灯里著
税込み1870円

小説『馬疫』の読みどころ、オススメな点についてお聞きしました。
主人公の駿美(としみ)は、真実を貫くまっすぐな人。言いたいことも忖度せずにばしばし言います。
コロナ禍を先取りした理系ミステリーという触れ込みですが、駿美をはじめ、専門家の若者たちが感染経路の謎解きをし、上司の悪を暴く青春ものとしても読んでみてほしいです。

お勧めいただいた本

講談社文庫 『99%の誘拐』岡島二人著 税込825円

30年前のミステリーですが、この時代にコンピュータやネット通信を大いに利用していて今でも古臭くなくスタイリッシュな作品。冒頭の事件も魅力的で、12年後に新たな犯罪がはじまります。それはコンピュータに制御された犯罪...と、2部構成になっています。大好きな作品なので、『馬疫』も事件が解決した後にさらなる事件が、と2部構成にしてみました。

作家仲間の馳月基矢先生が参加されていました!
茜先生からも紹介が!

双葉文庫 税込660円『拙者、妹がおりまして』

友人の馳月基矢さんは2020年に受賞・デビューした新人作家仲間。時代物を中心に書いていらっしゃいます。この作品は、時代物とはいえ等身大の若者が活躍するので、大学生にも読みやすいと思います。馳月さんのように同期デビューで頑張っている作家の姿を見ると、私もモチベーションが高まります。

学生へのメッセージ

視野を広げるには、専門と真逆のことに興味をもってみてほしいです。今はネットで何でも簡単に調べられるので、気になる言葉があれば、すぐに調べて深堀りすると良いと思います。本は読めなければ短文でもいいので、ネットの小説サイトでもニュースでも、毎日、文章に接するのがおすすめです。本屋さんをうろつくのもいいですよ!買う気がなくても思わぬ出会いがあります。
それから、夢は持ち続けること。私が小説家になりたいと最初に思ったのは新聞記者時代でしたが、「今が小説を書く時だ」と実際に書き始めたのは1年半前でした。いつかかなえられるといいなと夢を持ち続けていたら、気力、タイミング、チャンスが揃う時があります。

他にも、ここには書ききれないくらいたくさんのお話をしていただきました。質問もたくさんいただきました。「まあ!」「ああ、そうねえ!」と表情豊かなリアクションで、質問に一つ一つ関心をもって熱心にお答えいただきました。茜先生、ありがとうございました!

寄せられた感想

  • トークイベントの前までは本についての内容が時間の大半を占めると思っていたが、先生自身のお話や私たち学生に対する熱いメッセージも聞くことができて参加してよかったと感じました。
  • 新たに出版されたら、先生の作品を随時読んでいきたいと思います。
  • 茜先生の創作に対する姿勢だったり、『馬疫』のちょっとした裏話を聞けたのはよかったと思います。
  • 今後も小説家のトークイベントを開催して欲しいと思います。

などなど

今回のトークイベントには、生協学生委員会の学生さん2人が司会進行として関わってくれました。まだ1回生の二人でしたが、先生のお話を関心持って聞いてくれました。視聴者の皆さんにもその熱意が伝わったようです。

ご参加の皆さん、ありがとうございました!