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2017.11.06

11月のブックカフェ

ニュース

10月12日 OICブックカフェレポート

10月24日 衣笠ブックカフェレポート

10月26日 BKCブックカフェレポート

11月のブックカフェ

2017年10月12日(木)OICブックカフェレポート

雨のにおいのする午後、OICでブックカフェが開催されました。
この日は、総合心理学部1回生の方が4名。2回生の方1名、政策科学部の方1名、職員2名の参加者で語り合いました。

OICブックカフェレポート

こんな本が話題になりました

●森見登美彦は、『新釈走れメロス』がすごいです。文学作品からヒントを得た短編集ですが、はじけまくっています。「藪の中」のように目線が違うと事実も違ってしまう。
そんな楽しさがあります。

●楽しいのは『夜は短し歩けよ乙女』です。シニカルな目線があったり、大概は大学が舞台なので、やってられるか~とぶっちゃけているような登場人物がいて、作者も書いているのが楽しいだろうなと思わせます。

●ヘタレ男がよく出てきますが、読んでいると登場人物が古風だなと思います。今の大学生ではない明治や昭和を思わせるちょっと昔的な感覚があります。

●『四畳半神話大系』を読むと、森見さんの世界観は幅広いと思います。コミカルだったり、ミステリアスだったり魅力的で、5回は笑えます。

●実は僕は『きつねのはなし』が好きです。おどろおどろとうかホラーなのですが、その表現方法がうまいです。

●キラーフレーズってありますよね。「お友だちパーンチ!!」だったり。まるくてかわいいものをダルマと言ったり、記憶に残る作品だと思います。

●どの作品の登場人物も「シュレーディンガー」でつまづいているというのがおもしろいです。

●僕はオズが好きなのですが、森見の作品は、親友がすねて主人公の邪魔をするというケースが多いです。また様々な本の間で同じ登場人物が出て来たり、関連があります。

●米澤穂信の『折れた竜骨』が大好きです。昔のヨーロッパを舞台にしたファンタジーなのですが、まず魔法が出てきます。そして王様が殺されて犯人捜しをします。面白いのは、容疑者がリストアップされていて、犯人かと思われた人の容疑が晴れたり、最後まで犯人がわかりません。キャラがとても立っています。コミックも読んだのですが、同じことを表現するのに、絵で見るときと、文章で読むときの印象が違うということに気が付きました。

●米澤穂信さんは『春期限定いちごタルト事件』を最初に手にとって、そしてはまりました。
読んでいると光景が浮かんできますし、難しい言葉が使われていなくても、伝わる。
言葉運びがスムーズでいいと思います。人が死にませんし。

●死ぬ作品は『インシテミル』とか『犬はどこだ』とか少しありますね。

●中一の時、ほんとうに馬鹿で、勉強はしないし、ゲームばかりで、すぐ外に遊びに行ったりの生活でしたが、ある時先生に『氷菓』薦められて、読んだら読めたのが僕の読書生活の始まりです。

●夏目漱石の『三四郎』を読もうと思って図書館から借りています。
何か明治や昭和の文豪の本を読むと、本の中の人の恋愛ってめっちゃ重たいなと思います。

●ドラマティックにしようと思うと、すぐ関係が成立するとストーリーが成り立たないし、恋愛のいちばんおいしいところは「片思い」のような気がしています。だからこそ、リアルな相手より、妄想の相手が色濃く出て重たくなるのでは?

●最近感性が枯れてきたような気がするので、泣きたいと思ってロングセラーの『ぼくは明日、昨日の君とデートする』を買いました。京都が舞台で、女の子が魅力的で、出会って恋をした女の子が主人公とは逆の時間軸を生きている。二十歳同士で恋できるのは今しかないというせつない仕掛けがあって、でもその設定は昔からあるものなので、作られた感があって泣けませんでした。

●朝井リョウさんの『何者』は話題にもなっていて、読みたいと思いながら読めていません。

●ちょっとつらい感じの本ですよ。でも学生時代に読むべき本かなと思います。

●三田誠広さんの『いちご同盟』大人びた主人公の発言や行動が君ほんとうに中学生?と突っ込みを入れたくなります。昔の本ですが充分楽しめます。

●僕は泡坂妻夫さんが好きです。「11枚のトランプ」とか「乱れからくり」が有名です。
いちばんのおすすめは『生者と死者』です。この本は大きく「取扱注意」と書かれていますが、なぜかと言うと「袋とじ」付きの本なんです。袋とじ開けるまえに読んで、その後袋とじをあけて読むと、最初に読んだものとは全く別の話になってしまうのです。
女性だと思っていた登場人物が男性だったり、いろいろです。

●江戸川乱歩の短編集を読んだのですが、印象に残っているのは線路に言いを置いてくるという男の話で、でもそれは自分の妄想で、置いた後どうなるとかすべて妄想で語られるのです。

●『文豪ストレイドックス』は作家を主人公にすべてがイケメンで、それぞれ特殊能力を持った展開で面白いです。

●特殊能力と言えば『リィンカーネーションの花弁』は、いちかばちかの賭けで自分の首を切ると、先祖の能力を身につけられ、誰もいなければ死んでしまうとう展開で、アインシュタインの能力を持った人は春寒移動ができるようになるとか、悪と正義とは何かを問うバトルものです。

●『いぬやしき』は、宇宙人に改造されて機械人間になったじいさんと若者が、糸を助ける側と、人を殺略する側になり生きる意味を問う物語です。

●谷崎潤一郎の『痴人の愛』は15の少女と同棲した男が、女に振り回され、その魅力に屈する物語です。

●『細雪』は昭和11年が舞台ですが、戦争の時期にあまりのカビな生活描写に、連載を止められたことがあります。4人姉妹の屈託の様子は、いちばんリアルな物語かもしれません。

●アドラー心理学はすべての問題は、人間関係にあるとうのが根幹にあります。
変えようと思って、変えられない。自分の気持ちの持ちようが大切と思いました。

●アドラーの本は、こうしろとかこうなんだとか押し付けがましくないところがいいです。

●ジョブスの名言は心を豊かにします。「馬を湖に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」とか考えさせられます。お薦めです。

●『ルビンの壺が割れた』フェイスブックが舞台で、いろいろ見えないとこをもあって真実を得るのが難しいのですが、文字で書いた「だまし絵」という雰囲気もあって面白いです。

●『残像に口紅』は筒井康隆の本で、ビブリオバトルの首都決戦で勝ち抜いた人が紹介した本です。本を書くのにどんどん使える文字がなくなっていくという物語です。
最初は「あ」がなくなって、「あ」のつく単語は別の言葉に変えて物語を作っていきます。でもだんだん言葉が減ってきて、最後は「が」と「ん」しかなくなって、それでも文章を作るという物語です。どんな表記をしたのか。見たくてたまらなくなりました。

●赤川次郎の『夜想曲』は、お話の途中で選択肢が出てくる、アドベンチャーゲーム様式です。何が正しい終わり方なのかが問われます。

●『忘却のクレードル』は、コミックですが、日本は戦争の準備をしており。本土から離れた島で教官と15歳の少年たちが1年間訓練を施される時代です。
ある時、主人公が目覚めたら、30年の時が立っていて、本土から来た女の子に「日本は負けた」と知らされます。女の子を守りながら主人公は、自分たちが実はクローンだったと気づきます。自分たちの生きる意味を問う主人公たちなのですが、ある日、石になって死んでしまいます。最初に読んだとき、なんて救いのないバットエンドだと思ったのですが、読み返すうちに、主人公は女の子と出会い、慕われ、守るという生きがいと役割を自覚したから幸せに死ねたのではと思ったら、ハッピーエンドのように思えてきたのです。
それぞれの読み方があると思います。

●『最終兵器彼女』はあまりのほのぼの系の絵なので、あまりに凄惨な設定でびっくりします。女の子は日本の最終兵器で、軽々と仕事に出かけますが、それは人を殺したり、敵の武器を壊したり、それが重大なことだとは思っていない女の子が怖くて、恋人もその事実を受け入れようとしますが・・という物語です。

●『がっこうぐらし』はゾンビの出現で崩壊した街の中で学校に寝泊まりをして、ゾンビと戦う女の子たちを描いたコミックです。かよわくてかわいい女の子たちが戦うというのは一つの見せ場となって、そういうお話が多いですね。

●窪美済澄さんの『アカガミ』は、近未来、恋愛や結婚をさけるようになった若もの達に政府は、「アカガミ」という恋愛システムを作って恋愛を推奨するようになる。果たしてその目的は・・?というどきどきもののお話です。

もっともっとお話はしたかったのですが、残念ながら終了の時間になってしまいました。次回は11月16日(木)です。
11月9日は17時からOIC食堂でビブリオバトルも開催します。
みなさんお時間の都合がつくようでしたらいらしてくださいね。

2017年10月24日(火)衣笠ブックカフェレポート

雨がしとしとと降る夕方、衣笠ブックカフェが始まりました。今日の参加は、産業社会学部の2回生、3回生がお一人ずつ、文学部の1回生がお一人、2回生がお二人、3回生がお一人という顔ぶれでした。集合写真に全員写っていないのが残念です。

衣笠ブックカフェレポート

こんな本が話題になりました

●自分の小説のネタにしょうと『ナポレオンと神』を読んでいます。宗教とナポレオンというのは対立してきたと思われていますが、各地を治めるためにイスラムやユダヤ教などいろいろ受け入れてきたのがナポレオンです。この本を読んでいるとナポレオンは宗教そのものでないのかと思わされます。自分自身を神格化していくというのが英雄にはありがちなのですが、自分自身特別の存在だと信じていたかのようです。

●『ねじまき少女』という本を読みました。環境や食料問題を材料にした「エコSF」と言われるジャンルのものなのですが、改造された女の子が主人公です。ちょっと見は人間にみえますが、生身の人間と区別がつくように造作にぎこちなさを残したつくりの女の子です。
その世界で疫病が大流行して、遺伝子改造穀物をつくった企業が大勝利、そして世界のエネルギーが人間や動物を改造したものに変わっていくという物語です。ヒューゴー賞とかいろいろ賞を取った名作らしいです。

●バレーマンガなのですが、昔読んで再読しているのが、『2.43』です。2.43というのはネットの高さのことだそうで、中学から高校にかけての男子バレー部のお話です。

●貴志雄介が好きです。世の中では『青い炎』『黒い家』『クリムゾンの迷宮』は評価を得ていますが、僕は、『悪の教典』と『新世界より』が気に入っています。
『悪の教典』はサイコキラーという裏の顔を持つ教師が主人公で、有能で人気者ですが、裏では自分の邪魔になった人間をどんどん殺害していきます。そんな殺略の話なのにところどころにジョークが入って笑えるのがすごいです。『新世界より』は人々がサイコキネシスの能力を手に入れた1000年後の世界を描くサイエンスファンタジーです。
豊かな世界で育った少女は、ある先史文明がなぜ1000年前に滅びたかを知ってしまい、現在のかりそめの平和が少しづつ歪んでいくという物語です。長いです。体力がいります。

●西尾維新の新刊がでました。『美少年椅子』です。これはもちろん江戸川乱歩の『人間椅子』のオマージュでシリーズ7作目です。

●『人間椅子』は女主人の体温や体の感覚を椅子の中で感じる変態性がありながら、最後はあっと言わせるどんでん返しもあって名作です。これは今の異端キャラの源流ですよね。
乱歩のいいところは変態性を胸はって実行しているのではなく、「こんな変態ですみません」という姿勢が共感を呼びます。

●乱歩を創作の方向性をいくつか変えてきていると思います。 最初は『二銭銅貨』で正統派ミステリーだったのに、怪奇ものに移り変わり、そして子供向けも書いていきます。

●乱歩は生きた時代も不幸でしたね。戦争中は受け入れられず筆を折るしかなかったようですし。もとのエドガー・アラン・ポーのおどろおどろも大好きです。

●乱歩でいちばん好きなのは、『黒蜥蜴』です。女怪盗と探偵が対決するのですが、二人との相手を煽っていきます。怪盗が姿を変えて探偵に「〇〇を取られたら探偵やめなさい」「辞めてやる」。盗られて探偵は「辞めなさい」と女怪盗に追い込まれる。でも次に怪盗をつかまえてやり返すとかおもしろいです。

●『ボヴァリー夫人』を読みました。田舎の平凡な結婚生活に飽きた主人公が、不倫や借金地獄に追い詰められ、絶望の末に服毒自殺をする物語です。この物語は不倫とかの内容よりも表現方法が不埒ということで裁判沙汰になりました。一人称と三人称が混ざり合ってよくわからない文章となっています。

●『武蔵野夫人』はちょうど昭和22年頃のお話で、夫が浮気症で近所の人妻と不倫をし、妻は下宿させているいとことの恋愛に身を焦がす。夫が不倫相手と出奔したあと、夫が家に戻ってみると妻が自殺していたという救いのないお話です。金銭問題もあって、中産階級の没落も描かれています。

●昔高校の授業で、『チャタレイ夫人の恋人』をみんなで読んだことがあります。きっかけは発禁になった本を知るということで、ちょっと刺激的な授業でした。

●僕たちは結婚していないので、誰も不倫にはならないけれど、なんで世の中にはこんなに不倫が多いんでしょうか。

●明治以降ですか。一夫一妻になったのは。それまでは不倫という概念はなかったのかな?

●江戸時代でも女性にだけ姦通罪があったし・・。なんとも言えません。

●源氏物語を読むと、六条御息所の生霊が心に残ります。生霊と言うのは負の感情から生まれるもので、六条御息所は元々は東宮の嫁で押しも押されぬ立場の人であったのに、夫に先立たれ、源氏の愛に溺れたのもつかの間、長く心をとらえることが出来なくて、源氏の正妻・葵上にたたるようになったのは「あはれ」としか言いようがありません。一夫一妻の時期であろうが、一夫多妻だろうが、人の心は変わらないのかもしれません。

●太宰治の『斜陽』は新しい感覚の女性が出てきます。上流階級に育ちながら没落を経験した主人公は、妻子ある人との恋愛におのれの将来を見出します。これが革命であると言い切ります。

●太宰といえば、『人間失格』が有名ですが、太宰としては豪農の出身で、高等教育も受けられるし、お金もあって、坊ちゃん坊ちゃんと言われる立場でした。何か創作をするというときに負の遺産というか負のエネルギーを持たなければ芸術家たり得ないというようなかっこつけがあったのではないでしょうか。だから心中をしてもどこか浮世離れしていて本当に死ぬ覚悟ができていない。最後の多摩川での入水も、女の方には太宰の最後の女であろうという覚悟があって、太宰を逃がさなかったのではと勝手に思っています。

●『走れメロス』はとても有名な作品ですが「本当にメロス走ったのかよ」というつっこみもあり、走ろうが走らなくても、殺されに戻ったところがえらい!!ということだと思います。

●明治の文豪など、つやっぽい話が川端にしても谷崎にしても多いですが、ロシアの文豪の『罪と罰』は実はとてつもなく純愛だと思います。ソーニャちゃんがものすごくかわいい。彼女の存在で、自分は人を殺す権利を持っていると思いあがっていた主人公が変わります。

●シャーリー・ジャクソンの『くじ』はあるアパートの住人が部屋からものがなくなることが続いて、心当たりの部屋を訪ねます。すると似たような間取りの似たような家具の部屋でそこには変わった住人がいた。これは「決闘裁判」というお話です。表題の「くじ」は毎年6月に村中でくじを引くことが昔から決められていた。今年は誰が当たるのか。何のために・・という人間の怖さを描いた異色短編集です。

●泡坂妻尾夫の本で『死者と生者』という本があるのですが、これは本のタイトルに取扱い注意と書いてあって、他にはあまりない小説です。
まずこの本は袋とじで、そのまま読むとある物語が描かれているのですが、次に袋とじを外しながら読むと最初に読んだ物語の内容が変わって別の物語に変わっていくという斬新な小説です。

●『ビブリア古書堂の事件簿』にカッター本の話が出てきます。カッターで切りながら読むという本です。前述の本のような効果をねらっているかどうかがわかりませんが、昔はそうした遊び心ある仕掛けがあったのですね。

●朝井リョウさんの『何者』は、ツイッターで一人の人間が表と裏と裏と3種類の別のことをしゃべるというのがとてもこわかったです。

●河上弘美さんの『神様』は短編集ですが、のほほんとしたなかに異形のものとの出会いもあって、変わった本で楽しめます。

●夏目漱石の『門』は、これも先ほど出ていた不倫の本です。近代人の寂しさが書かれています。仲のいい夫婦が出てくるのですが、都会にいるのにたった二人しかいないようで、二人で山奥に暮らしている感じです。そこに過去に起きた不倫話が出てきます。

●不倫というか何か事件がないと物語は進みませんものね。

●恋愛でいちばんいいのは片思いじゃないかな。人を思うことで、詩人にもなれるし、哲学者にもなれます。

●哲学者と言えば、ソクラテスです。悪妻を持ったことで有名ですが、最後に悪法でも受け入れて毒杯を煽る姿に感銘を受けます。

●世の中のことを知っていくには宗教は外せませんが、日本というのは「何無阿弥陀仏」で「極楽浄土」に行けるというような簡素化が進んでいるので、もう一つ世界の宗教を把握するのはむずかしそうですね。

●「コーラン」だって、ほんとうはアラビア語で捉えられないといけないのですよね。

●歴史を楽しむなら始皇帝の時代ですよ。みんなで『キングダム』を読みましょう。

ここに書いていないお話がいっぱいあふれていて、報告も十分にできませんが、大変盛り上がりました。次回は11月21日(火)です。最初の予定の28日から変更になりました。
誰でも参加できます。お時間の都合のつく方はいつでもいらしてくださいね。

2017年10月26日(木)BKCブックカフェレポート

ようやく晴れて落ち着いた夕方、BKCブックカフェが開催されました。
本日は、情理の3回生、理工の3回生の方お二人、薬学部4回生の方、生命科学研究科院生の方の参加してくれました。遅れて来た方がお写真に載っていません。残念ですね。

BKCブックカフェレポート

こんな本が話題になりました

●フランス幻想小説が好です。現代人の不安と恐怖は神話、不合理、夢、狂気と言った幻想世界に新たな精神的糧を求めています。これは魅惑に満ちた短編集です。

●エドガー・アラン・ポーが好きです。「黒猫」はあまのじゃくの心理を扱った恐怖小説で、「アッシャー邸の崩壊」は友人の家で怪しげな邸宅に招かれた語り手が様々な恐怖体験をしていくポーらしいモチーフが満載の小説です。

●ポーの挿絵を描いているルドンという画家なのですが、世紀末主義というか悪魔主義をなぞらえた作風で魅力的です。

●高野悦子さんの『二十歳の原点』は、一人であること、未熟であること、これが私の二十歳の原点であるところから取られていますが、学生運動盛りの頃、理想の自己像と現実の自分とのギャップ、青年期特有の悩みや生と死の間で揺れ動く心などを鋭い感性で描いた日記です。立命館の先輩なので読んでもらえるとうれしいかな。

●昔の作家さんですが、連城三紀彦さんの『戻り川心中』がお薦めです。丹精な文章のミステリーなのですが、実力のある歌人があまり評価されなくて、女性との間の情念を作り上げて自死を演出して、だからこんな傑作が出来たんだと世間の心を動かして大家になるという物語です。

●ホームズとワトソンの掛け合いが好きです。でも名探偵って独壇場なので解決をミスリードしていたらどうなるんだと考えたりします。

●最近、話題の『私を離さないで』を昔読みました。ユーモアがあって、最後にああこんな話なのかと思っていろいろなことが腑に落ちました。命が短いこととか・・。

●『ガンダムSEED』とかもそうですが、デザイナーベビーや人間の改造の話はあちこちにありますよね。

●『甲殻機動隊』なんて脳がパソコンでネットにつながっていて、すぐ検索できるからいろいろなことができるというお話でした。今はスピードはまだまだですが、スマホがそれに近い役割を果たしていますよね。

●名探偵コナンは、読みます。映像もみます。あれだけ大作になると矛盾が出まくりだと思うのにがんばっていますよね。

●コナンの最終話をよく考えるのですが、コナンが戻れなかったとして10年。
17歳となったコナンと27歳になった蘭がいて、酔っぱらった蘭をつれて帰って果たして一晩成立したのかという場面があって。朝、明るく蘭がごはんを作っていて、食卓から、窓の外の青空にパーンする。空から、ある家の窓に視点は移って、部屋の中には子どものコナンがいる。いすに座ってうつむいたコナンは「そうなったらいいな」とつぶやく。前出の場面はかなったことなのか、夢のままなのか読者に託して終わるという妄想を持っています。

●『冷たい方程式』というSFは、ある惑星に病気が蔓延して、ワクチンを乗せた宇宙船が使命を帯びて旅をしています。その中である少女が惑星の兄に会いたいがために密航してきます。でもその船は、ただの一人も乗せる余裕がない船で、少女が結果として宇宙船の外に出されるという物語です。

●その終わり方に納得できないという話が合って、多くの派生小説が生まれました。
『たった一つの冴えたやり方』は、誰かが死ななきゃならないとう選択肢の中で明るい要素を持った作品で注目です。

●SFは『1884』とかディストピアものが好きです。不思議なのは、体制側に抗う存在だったのに、最後はそれを認めて受け入れるという終わり方です。

●伊藤計劃の『ハーモニー』もそうですよね。これが幸せだと決めつけられた世界に疑問を持ちながら、最後は受け入れていくんです。人間のさがでしょうか。

●何が、善なのか悪なのか、よくわからなくなっていくというのは多くて、映画の「最後の誘惑」も。最後の時、キリストは普通の人間としても幸せを得たかったというお話ですが、天使が悪魔で、悪魔がイエスを十字架にかけてキリスト教の存在を残そうとしたみたいな。
分かりにくいですよね。

●最近、友達に本を紹介してほしいと言われて、まずカミュの『異邦人』を薦めました。
不条理じゃないですか。殺人の動機が「太陽がまぶしかったから」ですと。何が何やらでおもしろいです。

●もう一冊すすめたのが、P・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』で、人間とは、自分とは何かを突き詰めています。本では人間たるもの、人間こそが共感を生み出せる存在だとしているのに、映画は、人間よりロボットの方が共感できる存在だと主張している気がします。そこに違いがあります。

●カミュときたら、カフカですよね。『変身』は嫌いですけれど。

●実は、『変身』をもじった作品が手塚治虫であります。未来社会ですが、動物とか昆虫とかがいなくなってきている社会で、罪を犯した人間が身体を改造されて動物などの役割を担っているのですが、ザムザという主人公が陥れられて罪を犯したことにされてしまいます。そしてザムザは芋虫にされてしまいます。ザムザは食べて食べて、そのうち蛹になります。からから出たザムザは立派な蜂になり、自分を陥れた人間を刺して殺すのです。そして大空に飛び立っていくのです。

●レイブラッド・ベリが好きです。『華氏451度』は、政府が思想統制をしている社会で本を読むことが禁じられています。主人公は、本を燃やす仕事をしていて、燃やすことに楽しさを感じているのですが、ある時、本、活字に触れて変わっていくのです。
これは有川浩の『図書館戦争』の元ネタです。

●『僕が愛したミームたち』は戦場で独りぼっちで孤軍奮闘をします。殺されるかも知れないという環境の中、無線連絡でジョーク飛ばす余裕とかがかっこいいです。

●『いばら王』というコミックはおもしろいです。最初の頃はスクリーントーンを使わずに手書きをしているところもすごいですし、体が石化してしまう状況に陥った人類が、未来に希望を託して、冷凍睡眠に入ります。そして20年後、目覚めた主人公は茨が取り巻く中、怪物に襲われたりする、サバイバルの物語です。

●絵がとにかく美しいということでは、『ARIA』がいちばんです。火星が、例えばネオヴェネチアとか地球にある都市をなぞらえて作られている世界のお話です。女の子がとにかくキレイでかわいいです。

●有川浩の『キケン』を読みました。とにかくBKCにふさわしい物語です。はじける青春がとてもいいです。そして最後が泣かせます。

●『仮想通貨とブロックチェーン』は今話題のビットコインとかです。仕掛けの巧妙さやサカモトという開拓者が優れているなと感じます。本来的には通貨は、国の後押しがあって信頼性があるのですが、これは国家という背景がありません。しかも終わりが2150年ということも語られているのです。

●齋藤孝をよく読みます。『雑談力があがる話し方』はためになります。
①中身がないことに意味がある。②挨拶+αでできている。③結論はいらない。④サクッと切り上げる。⑤訓練すればだれでもうまくなる。などと雑談の基本マナーを学べはあなたも雑談力アップできるかも。

●本を読むのに『読書力』は注目です。読書はスポーツと一緒で繰り返すことで身に付きます。ほんとかなと思いながら惹きこまれていきます。

いろいろなお話で盛り上がりました。次回は11月30日(木)です。みなさん、よかったら来てね。