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2016年10月25日(火) 衣笠ブックカフェレポート

雨模様の夕方、今年度6回目のブックカフェを開催いたしました。
今日の参加者は文学部1回生2名、2回生3名、4回生1名、産社1回生1名 2回生1名、法学部4回生の方、総勢9人の参加でとても賑やかなブックカフェとなりました。

こんな本が話題になりました

  • 最近読んで面白かったのは『パノラマ島奇譚』です。江戸川乱歩は独特の世界観があっておもしろいです。
  • 『夜は短し歩けよ乙女』を読んでからどうしても祇園に行きたくなりました。「電気ブラン」が本当にあるのか探ってみたいです。そして黒髪の乙女の「お友達パーンチ!!」が愛らしくて大好きです。
  • 11月に道尾秀介さんのトークイベントがあるので集中的に道尾作品を読んでいます。
  • 道尾さんは人間を書くのがうまいと思います。醜くて弱い人間の姿をきちんと書いています。そこに惹かれます。
  • 『向日葵の咲かない夏』は小学生が主人公で一人称で物語が語られるのですが、そこにいくつもの仕掛けとミスリードがあってやられた感満載です。
  • 『光媒の花』と『ノエル』を読みましたが、いづれも苦しいところはありますが、深い印象を受けました。
  • あさのあつこさんが好きです。『ガールズブルー』をお薦めします。文章が読みやすくて描写がとてもきれいです。一風変わった世界観を味わえます。

  • 11月に島田荘司さんが来校されるので、いくつか読んでいます。『死者の飲む水』は、やばいくらいおもしろいです。自宅にトランクに入った死体が届くところから始まります。でも容疑者には鉄壁のアリバイが・・。どうやってトリックを見破るのかはらはらします。
  • 『御手洗潔のメロディ』は最初に読むならこの本かなと思います。キャラやトリックや描写のバアンスがとてもいいです。
  • 『漱石とロンドンミイラ事件』はロンドン留学をした漱石がもしホームズに出会っていたらという物語です。ちょっと変わった設定ですがありえないことが本当にあった気になります。
  • 『少年検閲官』は何物も本を所有してはならないという設定の焚書をテーマにした物語です。元ネタは『華氏451度』でそれをあまあまにすると『図書館戦争』になるという人類悠久のテーマです。
  • 小説ではありませんが、『ジェノサイドの丘』という本を読みました。昔あったルワンダの虐殺がテーマです。作者が価値判断や道徳判断を切り落として書いています。より透明に描写されていますが、よけいにエグイ印象です。
  • 本屋大賞を取った『羊と鋼の森』は調律師の物語ですが、音の捉え方など学ぶところが多かったです。主人公の成長物語のところがいいです。
  • 最近読んで印象的だったのは、『もの食う人々』です。元慰安婦の方が割腹自殺を図って、その人たちと食事を共にしたときの体験とか作者は冷静な視点で短編に仕上げています。

  • エラリー・クイーンに注目しています。最初はキャラが多かったり、翻訳文体についていけなかったりしてもう一つだったのですが、『ギリシャ棺の謎』最近読んでみるとすごい!と思いました。大学出たての犯罪研究家エラリー・クイーンが推理を駆使して謎を解決に導く物語です。
  • 芥川の『芋粥』は哲学的で、「がんばって叶うまではよい」というのが心に残っています。
  • 坂口安吾の『桜の森の満開の下』は首遊びのところとかが目立ちますが、男が女に奉仕をせざる負えない関係とか、最後はすべて無になってしまうところとか、戦後の日本の有様と対応しているのかなと思います。言葉の美しさは注目です。
  • 戦前日本が崩壊するのを見ようと散文に書いて東京へ戻ったとか、変わった感覚をもった人ですよね。
  • 世の中にタイムスリップものはたくさんありますが、広瀬隆の『タイムマシンのつくり方』は必見です。タイムトラベルもののショートショート集なので読みやすいです。
  • この人は『マイナス・ゼロ』とか『鏡の国のアリス』とか名作揃いです。そんなに安全っていうなら東京に原発を置いたらいいだろ!!的な本もあります。
  • 書籍作家で注目の人は森絵都です。べたですが、『カラフル』は名作です。しゃべるとネタバレになるので・・・。
  • 『十二国記』ですが、今、執筆が止まっていて新作が出るのを待ち望んでいます。
  • 宮部みゆきは正統派のものより、ファンタジーが好きです。『ブレイブストーリー』はわくわくして最高です。

  • 石田衣良はこれまで『池袋ウエストパーク』しか読んでなかったのですが、『娼年』を読んで目からうろこがおちました。誘われて娼夫になる大学生の物語です。人間って、生きるってと考えさせられます。
  • 『桐島、部活やめるってよ』がデビュー作で、現在は映画『何者』をプレゼーション中の朝井リョウですが、僕は気に入りません。有名高校に入って、早稲田に進学して、在学中に作家とデビューして、若い直木賞作家になって・・。その順風満帆な人生がなんだかなぁと思います。
  • 百田さんの本もよく読みますが、『モンスター』は整形をする話で、人の心の闇が美しさとは何かという命題に迫っています。
  • 『境界線上のホライズン』は読むのが大変な本です。京極夏彦の本のようにに太いので枕になります。なぜかというと作者がとことん書き込むのが好きだからです。表のストーリーがあって、でもその裏には陰に隠れた人の人生やストーリーがあってということを書いてしまうのです。ストーリーとしては運命の彼女に会った主人公がおまえといっしょに世界征服しようというシンプルなものなのでが・・。
  • 私は谷崎潤一郎が好きなのですが、最初に読むとしたら、さっぱりとした書き味の『刺青』がいいと思いますが。お薦めは『春琴抄』です。『痴人の愛』と同じように文体にぬめぬめ感があります。つやっぽいということなんでしょうか、そこに惹かれます。

今季はいろいろ話題になったのは、映画化されたのもので、ラストは本と違うものや、プリキュラの10年後を描いたものが、登場人物たちが様々な問題を抱えていて自分を見つめ直すのによいとか、映画作品とか、仮面ライダーのように長年継続しているテレビシリーズとかたくさん出てきました。次回は11月29日(火)です。ブックカフェはだれでも参加できます。よかったらいらしてくださいね。